研究課題/領域番号 |
15K10334
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
富永 篤 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 研究員 (60274049)
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研究分担者 |
栗栖 薫 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 教授 (70201473)
濱 聖司 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 研究員 (40397980)
木下 康之 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 助教 (90750993)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | pituitary adenoma |
研究実績の概要 |
ヒトでの下垂体幹細胞は分離、培養が難しく正常下垂体を用いた人工下垂体への応用は現実的ではない。一方、非機能性下垂体腺腫は、臨床上ホルモン過剰の症状を認めないが、in vitroでは細胞から少量ではあるが、多種の下垂体ホルモンを分泌していることが知られている。そこで、手術時に採取可能な非機能性下垂体腺腫細胞を用いて、ホルモン分泌機序を解明することでホルモン分泌を制御した腺腫細胞をつくり、人工下垂体の構築を目指し、研究をおこなった。現在、非機能性下垂体腺腫症例からの手術摘出標本の集積を進めている。摘出組織は、Neural Tissue Dissociation Kits (Miltenyi Biotec) を用いて細胞を単離後、Cell Banker (Takara Bio) 内に凍結保存を行い、実験時に融解することで同一条件下での測定を可能にした。腺腫細胞混濁液を5×10^5 cells/mlの濃度で2時間培養し,培養液中の微量な下垂体前葉ホルモン(ACTH、LH、FSH、GH、PRL、TSH)分泌を詳細に測定した。すると、ほぼすべての症例で何らかの下垂体前葉ホルモンの分泌を認め、70%以上の症例で3種類以上の下垂体前葉ホルモンの分泌を確認している。さらにホルモン分泌の種類と臨床上の形態(MRI所見)との関連を検討した。すると非機能性下垂体腺腫のうち、gonadotropinの分泌を認める症例はACTHの分泌を認める症例と比べ、嚢胞形成が少なく、海綿静脈洞浸潤例が少ない傾向にあった。Gonadotropin分泌能の解析が非機能性下垂体腺腫の海綿静脈洞浸潤の機序解明の一助となることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脳神経外科実験室の移転後の大臣確認実験申請書の再提出と再承認のため、実験に遅れが出た。また非機能性下垂体腺腫症例の手術例の減少により標本集積が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
手術摘出症例の細胞採取を積み重ねていく。 大臣確認実験の施設承認されたため、アデノウイルスライブラリーシステムを開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
手術症例数の減少にともない、非機能性下垂体腺腫細胞の標本集積を現在おこなっている。また、本研究でもっとも研究費が必要であるアデノウイルスライブラリーシステムの稼働は大臣承認が遅れていたため、来年度を予定している。
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次年度使用額の使用計画 |
非機能し得下垂体腺腫細胞の標本集積をおこない、アデノウイルスライブラリーを稼働開始する。
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