研究課題
ヒトでの下垂体幹細胞は分離、培養が難しく正常下垂体を用いた人工下垂体への応用は現実的ではない。一方、非機能性下垂体腺腫は、臨床上ホルモン過剰症状を認めないが、in vivoでは細胞から少量ではあるが、多種の下垂体ホルモンを分泌していることが知られている。そこで、手術時に採取可能な非機能性下垂体腺腫細胞を用いて、ホルモン分泌機序を解明することで、ホルモン分泌を制御した腺腫細胞をつくり、人工下垂体の構築を目指し、研究をおこなった。非機能性下垂体腺腫症例からの手術標本を集積した。Neural Tissue Dissociation Kits(Miltenyi Biotec)を用いて細胞を単離後Cell Banker(Takara Bio)内に凍結保存を行い、実験地に融解することで、同一条件下での測定を可能にした。腺腫細胞混濁液を一定の濃度で培養することで、培養液中の微量な下垂体前葉ホルモン(ACTH、LH、FSH、GH、PRL、TSH)分泌を詳細に測定した。すると、ほぼすべての症例で何らかの下垂体前葉ホルモンの分泌を認め、70%以上の症例で3種類以上の下垂体前葉ホルモンの分泌を確認した。さらに単離した腫瘍細胞は長期にわたる培養に不利であることが判明したため、細胞を単離せず、細胞間接着を維持したままの培養を行うCTOS(cancer tissue-originated spheroid)法を用いて、細胞塊での初代培養を可能とした。
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Journal of Clinical Neuroscience
巻: 53 ページ: 127~131
https://doi.org/10.1016/j.jocn.2018.04.054