研究課題
本研究では、申請者らが併行して実施している悪性神経膠腫および腫瘍新生血管に対するペプチドワクチン療法臨床試験(3試験)被験者検体を用いて、免疫応答関連細胞・因子、また脳腫瘍血管新生および浸潤性関連因子について解析し、臨床的有効性との関連性を検証した。その結果、同ワクチン療法による臨床的有効性を認めた患者検体では、同ワクチン療法が標的としている抗原(VEGFRや神経膠腫関連抗原)を発現している細胞に対し有意に反応性をもつ細胞傷害性T細胞が高頻度に検出された。さらに、臨床的有効性を認めた患者検体血清中のsVEGFR2値は有意に低下していた。また、がん微小環境においてがん細胞増殖を促進するM2 型マクロファージが産生し抗腫瘍免疫応答に抑制的に作用するIL-8値が低値であることは、より延長された全生存期間と統計学的に関連していた。したがって、これらの因子は同ワクチン療法バイオマーカーとして治療効果評価や治療反応性予測に応用しうると考えられた。
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