研究課題/領域番号 |
15K10345
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
松下 葉子 大阪医科大学, 医学部, 非常勤医師 (70512094)
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研究分担者 |
川端 信司 大阪医科大学, 医学部, 講師 (20340549)
古瀬 元雅 大阪医科大学, 医学部, 講師 (70340560)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | PET / 悪性神経膠腫 / 画像診断 / 治療効果 |
研究実績の概要 |
治療効果の早期判定は癌治療において重要な課題であり、治療後早期に効果判定がなされればその後の無意味な治療の継続が防止可能となり、患者への肉体的負担の軽減や医療経済上も有益となる。また、治療無効時のその後の治療のタイミングを遅らせることなく新規または別のプロトコールでの加療を行うことができる。 我々はこれまでの研究から、必須アミノ酸フェニルアラニンを用いたPET(FBPA-PET)が、脳腫瘍治療後の治療効果の判定において有用であることを示してきた。しかし、その画像変化の意味するところは未だ不明な点が多く、実験的研究が不可欠である。今回検討する解析では、同一症例のFBPA-PET画像上の画素値の経時的変化を定量的に評価可能であり、これまで問題であった評価者・施設間の値のばらつきにも左右されることがない。この方法により、アミノ酸PETのみならず、脳腫瘍の治療効果判定には不利であったFDG-PETでの評価にも応用可能であり、より広く普及を目指せるものと考える。 脳腫瘍治療後の病態解析におけるFBPA-PET複数回撮影の経時的画像に解析を加え、その変化を定量的に数値化し各種パラメータを算出する。平成27年度は、まず治療効果判定とするにもっとも有用なパラメータを明らかにするため、試作解析システムを用い、FBPA-PET複数回施行例に対して、組織代謝・集積値による変化量およびその体積比を定量的に数値化し、実際の治療効果と対比した上で相関の得られるパラメータおよびそのカットオフを算出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当施設よりFBPA-PETを依頼していた近隣のPET施設において、期間途中で施設利用が中止となったことにより、症例の経時的変化を観察する上で、複数回実施が中断された。そのため、既存症例のみでの解析となった。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、FBPA-PET検査が再開できる見込みであり、さらに実施回数を重ね、症例数を増やして解析を行う。試作解析システムを用い、FBPA-PET複数回施行例に対して、治療前後の画像変化を定量的に判定するため、腫瘍体積に対する集積増減部分の変化量、体積比を算出し、数値化することで指標とするべきパラメータを決定していく。 また、腫瘍モデルを用いた動物実験を通じて、放射線・化学療法実施後のFBPAの集積量・分布を実測し、算出したパラメータと対比し検討を加える。 平成29年度は、先行させた既存例の解析結果を加味して治療介入から撮影までの期間を定め、本手法を用いた最適な効果判定の評価時期を決定する。臨床症例における画像解析継続的に実施するとともに、新規診断・治療例に応用し、臨床治療への反映が可能かどうかについても検討していく。期間を通じてPET画像を用いた治療効果判定の手法を確立し、定量的パラメータを用いた経時的変化から効果判定を実施する有用性を示す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当施設からFBPA-PETを依頼していた近隣のPET施設において、期間途中で施設利用が中止となったため、予定件数より実際の検査回数が減り、検査費用として事前の見積額よりも使用額が少なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は、FBPA-PET検査が再開できる見込みであり、平成27年度の不足分も含め、さらに検査実施回数を重ね、症例数を増やして解析を行う。病態解析を要する例および経時的変化の評価が可能な初回診断時施行症例を重点的に蓄積し、臨床治療への反映が可能かどうかについても検討していく。 また、放射線および化学療法を実施した腫瘍組織および正常脳組織におけるトレーサー(FBPA)の集積を視認および定量化し、どの程度の集積比低下が後の生存期間に影響を及ぼしていくのかを検証するため、動物モデルを用いた実験を行う。
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