研究実績の概要 |
マウスモデルへの CTOS の移植を試みたが残念ながらマウスに正着させることができなかった。 そこで、摘出腫瘍組織を用いて、neo-aduvant 放射線化学療法を施行した前後における分子学的相違を明らかにするため、RNAseq 解析を行った。Neo-adjunvant 治療を施行した患者は6例。-80度で保存していた初回生検時の腫瘍組織・neo-adjuanvt 治療直後に摘出した腫瘍組織から RNA を抽出し、解析に用いた。これら12RNA(6RNA set)のうち、1 sample がRNA の quality checkで基準を満たさなかったため、10例(5 sample sets)を検討の対象とした。治療前後で有意に異なる発現量を示した遺伝子は、症例1:2008、症例2:2097、症例3:1848、症例4:1524、症例5:587遺伝子であり、全ての症例で共通して有意な遺伝子発現変化を認めた遺伝子を46確認した。そのうち、22遺伝子は治療により発現が低下・10遺伝子は発現が亢進、14遺伝子は症例によって発現低下と亢進が異なっていた。放射線化学療法により発現亢進している遺伝子は、治療抵抗性に関与していることが疑われ、新たな治療標的となり得ると考えられるが、今回明らかとなった10遺伝子の中には、Cell cycle arrest に係わる遺伝子(FIT3)・ DNA repair に係わる遺伝子(CDKN1A, DDB2)・apoptosis や anoikis に係わる遺伝子(EDA2R, FSCR)・治療抵抗性への関与が疑われている遺伝子(ADIRF, CYBG, CRLF1)が含まれており、残る2遺伝子も DNA/RNA virus 関連の遺伝子とされていた。これらの遺伝子は、いずれも今後の神経膠芽腫の治療標的として有望であると思われた。
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