研究課題
小脳橋角部の疾患は,特に聴神経鞘腫では,外科的治療後の聴力の温存率は概ね50-60%前後であり,顔面神経麻痺も手術直後には,20%前後で出現しうる.すなわち外科的治療における神経機能温存率向上が大きな課題である.聴覚では,脳幹の神経核より直接,蝸牛神経背側核活動電位(AEDNAP)を安全に記録する方法を見出した.顔面神経についても,神経根に直接,持続刺激電極を留置し,顔面神経根誘発筋活動電位(FREMAP)を安定記録することし成功した.2006-2017年に施行した聴神経腫瘍は連続272例である.この中で210例で,蝸牛神経背側核活動電位(AEDNAP)と顔面神経根誘発筋電図(FREMAP)を持続モニタリングした.術前後で同クラスの聴力温存,同グレードの顔面機能温存と有意に相関する因子は,ロジスティック解析ではそれぞれAEDNAP,FREMAP温存率が有意であった.ROC解析では,AEDNAP温存率最終値が35.5%以上,FREMAP温存率最終値が58.5%以上で,同クラス,同グレードの機能温存率が有意に優れていた.症例の蓄積とともに、2015年度にJournal of neurosurgery誌に報告した神経機能温存の為の閾値の再現性を確認できた.2010-2017年に手術を施行した小脳橋角部髄膜腫は46例である.40例で,蝸牛神経背側核活動電位(AEDNAP)または顔面神経根誘発筋電図(FREMAP)を持続モニタリングした.AENAP温存率最終値が28.5%以上,FREMAP温存率最終値52.5%以上で,同クラス,同グレード機能温存率が有意に優れていた.小脳橋角部髄膜腫での有効性を確認できた.また経頭蓋運動誘発電位に関して,MEP温存率最終値47.75%以上で同一M.M.T機能温存率が有意に優れていることもわかった.
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