研究課題
研究課題「小児脳幹グリオーマの新規治療法開発:ラットモデルによる脳幹部へのCED法の研究」における2017年度の研究実績としては下記4項目が挙げられる。1. 本研究における脳幹グリオーマの動物モデルはラットを用いている。ラット脳幹グリオーマモデルはラットグリオーマ細胞の移植による同種移植モデル(allograftモデル)である。そのため治療実験を行う場合に投与する薬剤はラットとヒトグリオーマ細胞に共通の作用機序を有する薬剤を選択する必要があり、研究代表者の先行研究においてもテモゾロミドなどラットとヒトのグリオーマ細胞両方に有効な薬剤のみしか治療実験に使用できない問題点があった。すなわち、ヒトのがん細胞に対するモノクローナル抗体薬などは使用できなかった。そのため、本研究ではさらに臨床症例に近い脳幹グリオーマ動物モデルを作成するため、ヌードマウスを用いてマウスの脳幹部へ当施設で樹立したヒト脳幹グリオーマ細胞株の移植による、ヒト脳幹グリオーマ動物モデル(mouse brainstem glioma xenograft model)を作成することに成功し、その手法を確立した。現在、同モデルを用いた治療実験を計画している。2.脳幹グリオーマに対し、従来行われてきた手術、放射線治療、化学療法の総説と最新の遺伝子変化の知見に関する論文を2018年in pressの状態で発表した。3.小児脳腫瘍関連の学会発表を2学会で行った。1つは、髄芽腫に対する、末梢血幹細胞移植の救援療法を併用した、手術・放射線・化学療法の集学的治療に関する発表で、日本小児神経外科学会のシンポジウムで発表した。もう1つは国際小児神経外科学会において、小児脳腫瘍の中で頻度の高い胚細胞性腫瘍の手術法に関する発表を行った。4.小児脳腫瘍関連の図書1冊発行した。内容は小児脳腫瘍の中でも、側脳室内腫瘍の手術法に関する項目部分の執筆を担当した。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)
Neurol Med Chir (Tokyo)
巻: in press ページ: 1-6
10.2176/nmc.ra.2018-0044