研究課題/領域番号 |
15K10357
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
後藤 哲哉 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (30362130)
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研究分担者 |
降旗 建治 信州大学, 医学部, 特任准教授 (90021013)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | フリーラン筋電図 / 術中神経電気生理学的検査 / 術中画像システム / 聴神経腫瘍 / 顔面神経 / 末梢神経 |
研究実績の概要 |
神経の術中操作中に、神経が物理的に刺激された場合や、神経に何らかの損傷が生じた場合には、支配神経に一致する筋電図波形が出現し、刺激を止めた後も暫く再現性のある筋活動が観察される。術中にフリーラン自発筋電図(FR-EMG)を観察することで、感度の高いモニタリングが可能となる。FR-EMGは手術操作と完全に同期するモニタリングなため、問題となる術中手術手技操作に対して迅速な対応をすることができる。術中画面と麻酔情報、モニタリング情報を同期記録し、突然に発生するtrain波形と手術情報を適切に管理できれば、どのようなtrain 波形の出現が術後の神経機能障害に結びつくかが解析できるのではないかと考えた。 FR-EMGの事後評価を可能にさせる記録方法を確立し、FR-EMG専用の記録装置を試作する。次に試作した記録装置を用いて検査を行い、術中の判定基準を確立する。最終的には、FR-EMGのワーニングサインの精度と術後麻痺予測精度を、現在術後運動機能予測において基準となっている運動誘発電位モニタリングと比較して、その有用性を評価する。平行して術者が神経モニタリングの詳細を理解しやすい提示方法として、大型モニター波形表示を検討する。一見して定量評価が可能となる画像を提示することを目標とする。 本年度は研究計画以上に研究は進展している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1.FR-EMGの記録方法の確立:記録装置を試作した。試作した記録装置を実験室で神経検査装置との併用が可能か検討し、問題ないことを確認した。実際の手術において、神経検査装置と併用した。神経検査装置に不具合がないこと、記録装置が術中正常に作動することを確認した。記録した波形をパソコンにデータとして蓄積した。 2.FR-EMGの判断方法の確立:上記方法にて記録した波形を解析した。筋電図活動波形を自動抽出できるソフトを作成した。抽出波形のパワースペクトル解析を行った。フリーランにはこれまでわかっていなかった、いくかの特徴があり、この特徴によりノイズとフリーランを区別する方法が確立できそうな印象を得た。 3.FR-EMGの術者との情報共有方法の確立:顕微鏡画像、神経検査装置、本FR-EMG記録装置を同時記録表示する装置を試作した。試作した表示記録装置を実際の手術において、使用した。
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今後の研究の推進方策 |
イベント記録前後のそのほかの誘発電位記録を同一時間軸に乗せられる記録方法を構築する。臨床使用を繰り返し、測定を行う。測定データの記録量が現時点では大きすぎるため、解析に時間がかかりすぎている。より有効な記録方法を検討するとともに記録ソフトの作り込みを行う。具体的にはイベント時が発生した際にイベント数秒前から記録し、イベント終了後自動停止するソフトを作成する。 本装置の有用性は、運動誘発電位(MEP)との比較検討となるが、術中MEP測定は麻酔深度、体温、ブレインシフトなどにより変動があり、また、測定は刺激を行った時点の情報のみとなってしまう。高電圧刺激が脳へ与える影響を考慮するとMEPの頻回の測定ははばかられる。このためスタディデザインとしては、FR-EMGで陽性所見が出なかった症例と陽性所見が出た症例で、それぞれ術後麻痺がなかった症例を抽出しそれぞれのMEP変動幅を比べることとする。FR-EMGの優位性は証明できると確信している。
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次年度使用額が生じた理由 |
FR-EMG試作器の製作が順調であった。当初計画で見込んだよりも安価に研究が進み、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は平成28年度請求額と合わせて、解析ソフトの試作費にあてる。
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