研究課題/領域番号 |
15K10369
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
安達 淳一 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (70291143)
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研究分担者 |
西川 亮 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (90237678)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | glioma / CSF / DNA / genetic |
研究実績の概要 |
グリオーマに見られるいくつかの重要な遺伝子変異の中で、IDH1遺伝子変異は、固形腫瘍の変異としてはグリオーマに限定して見られる遺伝子異常であり、かつWHO garde 2-4 グリオーマの予後予測因子として確立していることから、その検出の臨床的意義は大きい。今回、我々はグリオーマ患者の腫瘍から溶出した、髄液中の circulating cell free (ccf) DNAを検出してIDH1遺伝子異常の解析を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
グリオーマ患者7例に対して、腰椎穿刺にて髄液を採取した。髄液1ml からMaxwell rapid sample concentrator システムを用いてccfDNAを抽出した。続いて、real-time PCR/高解像能融解曲線分析法でIDH1遺伝子のコドン132部位の点突然変異の有無をスクリーニングし、DNAシークエンス法にて変異を同定した。摘出した腫瘍組織から抽出したDNAに対しても、同様のassay法にてIDH1遺伝子異常について解析を行い、髄液ccfDNAから得られた結果と対比させた。 また、3例の症例からは血漿中のccfDNAの抽出も併せて行いIDH遺伝子異常の検出の有無につき検討を加えた。髄液由来のccfDNAは全例で抽出でき、real-time PCR/高解像能融解曲線分析法での解析が可能であった。グリオーマ患者7例中3例においてIDH1遺伝子変異がみられた。髄液由来ccfDNAと外科的に摘出された腫瘍から抽出したDNAにおけるIDH1遺伝子解析結果が全例で一致した。しかしながら、血漿中のccfDNAからはIDH1遺伝子変異は検出されなかった。
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今後の研究の推進方策 |
血漿中でなく髄液中のccfDNAを用いた遺伝子解析により、直接腫瘍組織を得ることなく、低侵襲でグリオーマ患者のIDH1遺伝子の評価を行えることが示された。さらに、本法を応用することでIDH1遺伝子異常以外のグリオーマの重要な遺伝子異常の解析(例えば、MGMT遺伝子プロモーターメチル化の評価など)も低侵襲な方法で可能と考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会発表の回数が当初の予定より少なくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
研究成果を充実させて、学会発表や論文発表の準備に使用を予定している。
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