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2017 年度 実施状況報告書

脳内構造を疑似透視するプロジェクションマッピングの脳手術への応用

研究課題

研究課題/領域番号 15K10371
研究機関杏林大学

研究代表者

丸山 啓介  杏林大学, 医学部, 講師 (10345192)

研究分担者 橋本 直己  電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (70345354)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワードプロジェクションマッピング
研究実績の概要

手術前にあらかじめ得られた画像から作成したコンピューターグラフィックスをコンピュータディスプレー上ではなく直接頭皮上に投影するプロジェクションマッピングを行うべく、前年度までは画像処理および投影の環境を整え、3Dプリンタで作成した頭部モデルを使用して誤差検証作業を行った。その後、頭髪が存在する環境では投影の精度が低下することが判明したため、本年度は頭髪の存在下での投影の誤差検証作業を行った。
並行して頭髪の影響を受けない、スマートグラス(メガネ型ウェアラブル端末)上に描出する作業も行った。当初は術野から撮影した静止画に符合するコンピューターグラフィックスをスマートグラス上に描出した。モデルを使用した誤差測定の段階では投影誤差は1.9mm±1.1mmと許容範囲内であったが、臨床例へ適応したところ誤差が3~7mm程度と、比較的大きく、臨床応用としては許容範囲にはないことが判明した。このため、既報告での手法を取り入れ、スマートグラスおよび患者頭部に光学マーカーを設置して、これらの位置をモーションキャプチャーカメラで捕らえ、頭部に対するスマートグラスの相対的な位置に符合するコンピューターグラフィクックスをリアルタイムに表示した。模型を使った機械的誤差は3.1±1.9mmと許容範囲であり、2例の臨床例でも投影の誤差は2.1±1.1mmであった。この初期経験について、学会発表および論文発表を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

頭髪の存在が投影を妨げるという想定外の状況により使用する手法について、当初の予定からは変更を余儀なくされた。代替案については迅速・的確に対応することができた。結果的に良好な描出の結果を得ることができた。年度内に学会での発表や論文での公開も間にあわせることができたが、本来の手法については誤差検証作業も想定以上に時間を要したため、進捗が遅れる結果となった。

今後の研究の推進方策

本来の手法である頭部へのプロジェクションマッピングについて、頭髪手術に適応する前に投影における頭髪の影響を確認する必要があるため、頭髪の存在する環境でも同様の精度が得られるかどうかの検証作業をさらに進める。
同様の精度が確認できた後に、脳の表面の血管を描出するため、脳虚血に対する浅側頭動脈-中大脳動脈(STA-MCA)吻合術へ応用する。この手術は脳の表層に位置する中大脳動脈に血管吻合を行うもので、通常は回答を行った後に吻合の標的とする血管を探索することになるが、これをあらかじめ頭皮上に投影することにより、より安全に、より精度の高い手術を行うことを目指す。STA-MCA吻合術10例を目安としてこの手技を適応する。なお、このための臨床倫理審査の結果すでに承認されている。頭皮上に投影した血管の位置と、開頭して血管が露出した状態での血管の位置を比較し、その誤差を測定する。
代替案であるスマートグラスを利用した臨床例についても、安定した描出が得られるよう改良を重ねる予定である。

次年度使用額が生じた理由

年度内に研究に必要な出費は全て賄った状態にて残額が発生する見込みとなった。次年度には研究成果について発表予定があるため、その経費に充てることとした。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Smart Glasses for Neurosurgical Navigation by Augmented Reality2018

    • 著者名/発表者名
      Maruyama Keisuke、Watanabe Eiju、Kin Taichi、Saito Kuniaki、Kumakiri Atsushi、Noguchi Akio、Nagane Motoo、Shiokawa Yoshiaki
    • 雑誌名

      Operative Neurosurgery

      巻: on line ページ: on line

    • DOI

      10.1093/ons/opx279

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 快適なパスワード管理方法, 日常診療に役立つIT2018

    • 著者名/発表者名
      丸山 啓介
    • 雑誌名

      脳神経外科速報

      巻: 28 ページ: 89-93

  • [雑誌論文] リマインダー機能で漏れのない仕事を, 日常診療に役立つIT2018

    • 著者名/発表者名
      丸山 啓介
    • 雑誌名

      脳神経外科速報

      巻: 28 ページ: 305-308

  • [雑誌論文] Outcomes of chronic subdural hematoma with preexisting comorbidities causing disturbed consciousness2017

    • 著者名/発表者名
      Abe Y*, Maruyama K*, Yokoya S, Noguchi A, Sato E, Nagane M, Shiokawa Y (*: equal contribution)
    • 雑誌名

      J Neurosurg

      巻: 126 ページ: 1042-1046

    • DOI

      10.3171/2016.3.JNS152957

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Relationship between intracranial aneurysms and the severity of autosomal dominant polycystic kidney disease2017

    • 著者名/発表者名
      Yoshida H, Higashihara E, Maruyama K, Nutahara K, Nitatori T, Miyazaki I, Shiokawa Y
    • 雑誌名

      Acta Neurochir (Wien)

      巻: 159 ページ: 2325-2330

    • DOI

      10.1007/s00701-017-3316-8

    • 査読あり
  • [雑誌論文] DICOMファイルを操作しよう, 日常診療に役立つIT2017

    • 著者名/発表者名
      丸山 啓介
    • 雑誌名

      脳神経外科速報

      巻: 27 ページ: 515-519

  • [雑誌論文] 術前3次元シミュレーション画像を作ろう, 日常診療に役立つIT2017

    • 著者名/発表者名
      丸山 啓介
    • 雑誌名

      脳神経外科速報

      巻: 27 ページ: 755-758

  • [雑誌論文] iPadによる手術シミュレーション, 日常診療に役立つIT2017

    • 著者名/発表者名
      丸山 啓介
    • 雑誌名

      脳神経外科速報

      巻: 27 ページ: 945-948

  • [雑誌論文] 3Dプリンタで出力するデータを作ろう, 日常診療に役立つIT2017

    • 著者名/発表者名
      丸山 啓介
    • 雑誌名

      脳神経外科速報

      巻: 27 ページ: 1177-1181

  • [学会発表] Augmented realityを応用したスマートグラスによる手術ナビゲーション2018

    • 著者名/発表者名
      丸山 啓介、渡辺 英寿、金 太一、笹森 寛生、野口 明男、塩川 芳昭
    • 学会等名
      第47回日本脳卒中の外科学会
  • [学会発表] Novel augmented reality-based neuronavigation using smart glasses and clinical application to brain tumor surgery2017

    • 著者名/発表者名
      Maruyama K, Watanabe E*, Saito K, Sato K, Yoshida H, Kume S, Noguchi A, Shiokawa Y, Nagane M
    • 学会等名
      5th Quadrennial Meeting of the World Federation of Neuro-Oncology Societies
    • 国際学会
  • [学会発表] Augmented realityを応用したスマートグラスによる手術ナビゲーション2017

    • 著者名/発表者名
      丸山 啓介、渡辺 英寿、金 太一、斉藤 邦昭、熊切 敦、笹森 寛生、野口 明男、永根 基雄、塩川 芳昭
    • 学会等名
      第76回日本脳神経外科学会学術総会

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公開日: 2018-12-17  

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