研究課題/領域番号 |
15K10378
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研究機関 | 公益財団法人田附興風会 |
研究代表者 |
西田 南海子 公益財団法人田附興風会, 医学研究所 第7研究部, 主任研究員 (80450237)
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研究分担者 |
永田 奈々恵 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 研究員 (80390805)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 特発性正常圧水頭症 / 寡動 / 髄液マーカー / 髄液不均等分布 / 神経変性 |
研究実績の概要 |
初年度は、対象疾患である特発性正常圧水頭症に関して蓄積してきた既存の画像データ・指運動定量評価のデータ解析結果を公表(下記学会演題発表)しつつ、本研究始動に向けての準備に終始した。対象疾患は高位円蓋部狭小化とシルビウス裂開大を特徴とする独特の髄液不均等分布を呈するため、同様の症候・脳室拡大を呈しても、中脳水道狭窄症や後頭蓋窩の髄液循環障害を伴う水頭症とは形態学的にもある程度、鑑別が可能である。そこで、試みに、髄液分布の差異が、影響を受けている白質繊維の差異となって現れるかどうかを、拡散強調画像の解析で抽出できるか確認した。差異は確かに存在する様子であったが、髄液腔の分布の差異との関連を再度検証する必要性がある。また、症候学的に両者が収斂することも問題となる。症候学的指標として、指運動の定量評価、及びパーキンソン病の運動症状評価に用いられるMDS_UPDRS(Movement Disorder Societies Unified Parkinson’s Disease Rating Scale)を用いた症候評価を追加開始している。リハビリテーション科の協力を得て、一般的な認知障害・歩行障害の基礎的評価は継続できる体制としている。これと平行して、研究分担者の元でも、本研究のもう一つの主題であるL-PGDSとその他の神経変性の髄液マーカーとの相互作用の検証が始められ、ビアコアを用いた検証では相互作用が確認されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2015年に入り21名のタップテスト評価、7名のシャント手術を施行している。予定していた評価項目を網羅し、治療後の経過を確認して特発性正常圧水頭症として矛盾のないことを確認している。平行して前向き研究としての髄液マーカー評価・睡眠評価の倫理性評価と研究方法の承認を得たが、既存の資料・データについての追加解析の承認申請を要している。研究分担者の元でも倫理委員会の承認を得て、相互作用の評価のスクリーニングを開始した段階であるが、上記所見は確認できている。
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今後の研究の推進方策 |
予定通り通常の治療経過・評価項目として現れるデータを蓄積し、既存データの活用をすすめるための追加申請を行う。倫理委員会の承認をふまえて、前向き研究の部分も開始していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
特に、ポリソムノグラフィーに協力いただける対象が少なく、同検査にかかる費用の出費が少なかった。 そのため、フォローに用いる簡易ポリソムノグラフィーのレンタル申し込みを先送りとし、その費用も浮く形となった。
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次年度使用額の使用計画 |
引き続き、ポリソムノグラフィーへの協力を募り、検査費用を負担する。円滑な運用のため、簡易ポリソムノグラフィーの導入(レンタル)を行い、本研究の一つの軸である睡眠評価をすすめる。 また、in vitroの評価で有望な結果を得られつつあるため、消耗品等への出費が初年度より高くなる見込みが高く、そちらをカバーすることも考慮している。
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