研究課題/領域番号 |
15K10378
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研究機関 | 公益財団法人田附興風会 |
研究代表者 |
西田 南海子 公益財団法人田附興風会, 医学研究所 第7研究部, 主任研究員 (80450237)
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研究分担者 |
永田 奈々恵 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任研究員 (80390805)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 正常圧水頭症 / 皮質の病理 / 白質の病理 / L-PGDS / Tau / テンソル画像 |
研究実績の概要 |
引続きブレインリソースの整備と活用支援よりサポートを受けて、変性疾患で大脳皮質におけるL-PGDSとtauの局在を確認した。従来、クモ膜及び白質髄鞘に存在すべきL-PGDSであるが、長年この物質と向き合ってきた共同研究者のグループでは、過去にも神経細胞への局在を確認しており、再現性のある結果と捉えている。しかし、リソースの検体における検証では慢性水頭症の病理を見ている事にはならない事は念頭におく必要がある。並行してMRIのテンソル画像を用いた検討を行い、皮質の病理と白質領域の関連を検討する事とした。Advanced Bioimaging Support (ABiS)先端バイオイメージング支援プラットフォーム)に申請を行い、50名の治療前の症例でQuality Check(QC)を行い、検討可能な45名にて臨床症状及び目的とする髄液マーカーと相関する局在及びDTIのパラメータを同定した。次いで、治療前後の変化の画像のQC及びファイル名の整備を進めている。また、日常的に行っている昼食開始時刻の3時間後のタップテスト(髄液排除)を目的とした腰椎穿刺で得られる髄液中の糖濃度をについて、55名を対照集団として、耐糖能異常と認知症の観点より改めて検討を行った。髄液中糖濃度(72.2 ± 15.4mg/dl)は、tau濃度(264.8 ± 223.2 pg/ml)と正の相関を示した。2019年の正常圧水頭症学会で報告したが、髄液中の糖代謝が、神経変性のマーカーと連動している可能性を示唆するデータと考える。従来、糖尿病などの細径の血管障害を来す病態は、脳の加齢性変化を進める点において、本疾患の発症メカニズムに寄与する可能性が言及されてきているが、髄液中の浸透圧上昇など他にもいくつかの要因を考慮させるとコメントをいただいた。
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