研究課題
(1) 膝蓋骨不安定症患者の抽出と臨床データの取得:整形外科外来にて膝蓋骨不安定症と診断され手術治療予定となった患者の中から、本研究課題の対象基準に合致し参加への同意が得られた20名を抽出した。診療録から基礎データ、理学所見、画像計測値を取得した。(2) 膝蓋骨不安定症患者を対象とした体幹・下肢三次元動作解析と下肢筋活動評価:上記の20名を対象として、複数の運動課題遂行時における体幹・下肢関節キネマティクス・キネティクス測定および下肢筋(大殿筋・中殿筋・大腿四頭筋・ハムストリング・前脛骨筋・下腿三頭筋)からの表面筋電図導出を行った。(3) 膝蓋骨不安定症術後患者を対象とした体幹・下肢三次元動作解析と下肢筋活動評価:上記対象患者に対して内側膝蓋大腿靱帯再建術を行い、術後1年以上経過した18名につき、術後1年の時点で体幹・下肢三次元動作解析と下肢筋活動評価を行った。(4) 術前後における臨床成績の比較:全例で自覚症状、理学所見、X線評価、膝関節機能スコアーおよび患者立脚型評価は術前に比較して術後1年で改善していた。(5) 術前後における体幹・下肢三次元動作解析と下肢筋活動評価の比較:90°および180°ターン動作について解析を行った。その結果三次元動作解析ではターン時の膝関節屈曲角度が増大する傾向、下肢筋活動評価では内側広筋の筋活動が増大する傾向が見られたが、いずれも対象全体として一定の傾向はみられず統計学的に有意な変化を示した項目は無かった。