研究課題
マンガン造影MRI、拡散テンソル画像、MR spectroscopyなど最先端のMRIを駆使して、慢性痛の原因を可視化する手法を開発し、慢性痛機序解明に寄与することを目的とした。①ラット膝関節内にマンガン造影剤を投与し膝関節由来の坐骨神経を可視化することを目的とした。さらに新たな低毒性のMRI用神経経路トレーサーとして、Mn錯体にデキストラン分子を結合して高分子化し、ナノ粒子ゲルの網目構造内に高濃度で封入したDex-Mn-Gelを開発した。ラット左膝関節内に造影剤を50μl注入し、MnCl2(M群, n=5)、Dex-Mn-Gel(DMG群, n=5)、およびControl(n=3)で比較した。24時間後、7T-MRIを用いてT1強調画像を撮影した。膝関節所見はDMG群の方がM群より炎症所見が少なかった。両群とも造影側でControlより有意に造影効果を認めた。マンガン造影MRIは非侵襲的に疼痛メカニズムを可視化できる可能性があり今後、臨床応用が期待できる。②生体組織内の水分子の拡散の方向性を強調化したものが拡散テンソル画像(diffusion tensor imaging: DTI)であり、Tractographyにより神経走行を可視化でき、拡散方向性の強さを示す指標Fractional anisotropy(FA)を用いて、神経損傷を定量評価できる。われわれはDTIを用いて腰椎疾患への応用を試みた。診断困難とされる腰椎椎間孔狭窄部でTractgraphyの途絶を認め、拡散方向性を示す指標FA値は低下し臨床症状と相関することを報告した。腰椎椎間板ヘルニアの単根障害における検討ではFA値は臨床症状と相関した。本研究から拡散テンソル画像により腰神経病変の可視化や疼痛という現象を数値として定量化出来る可能性がある。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件)
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