研究課題/領域番号 |
15K10387
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
古矢 丈雄 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (00507337)
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研究分担者 |
山崎 正志 筑波大学, 医学医療系, 教授 (50281712)
國府田 正雄 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任准教授 (50361449)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 圧迫性脊髄症 / ラット / 頚髄 / 胸髄 |
研究実績の概要 |
平成28年度は前年度に引き続き、最適な頚椎圧迫性モデル作成についての検証を行った。先行研究として最適なシートの厚さを検討した。本実験では膨張率2.0 倍のシートと3.5倍のシート、それぞれ0.5mm厚と0.7mm厚のものを使用し、4群で比較検討を行った。行動学的評価では膨張率2.0倍のシートにおいて期待していた緩徐進行性の脊髄症を示した。0.5mm厚のものと0.7mm厚のものとでは、0.7mmのものがシート挿入から約3週で脊髄症を発症することが分かった。0.5mmのものはやや遅れて5-6週で脊髄症を発症してくることがわかった。行動学的評価ののち、組織学的評価を行った。脊髄症モデル群では髄鞘染色にて皮質脊髄路の脱髄が観察された。 圧迫性脊髄症動物モデルとして、脊髄への重錘落下モデルやクリップによる脊髄の一定時間の圧迫(虚血)モデルが報告されている(Lee, 2012)が、これは比較的急性発症の外傷モデル、すなわち急性脊髄損傷モデルの代用である。圧迫性脊髄症は急性脊髄損傷とは、脊髄への外力によるダメージという点では類似するが、病態としてはやはり異なる部分も多い。今回作成を試みている経時的に膨張するシート挿入による圧迫性脊髄症モデルは、緩徐進行性に圧迫が強くなることから、重錘落下モデルやクリップによる虚血モデルよりも臨床の病態には近い。圧迫性脊髄症の病態把握や、新規治療法の開発に関する研究を行うことができるため、その社会的意義は大きいと考える。 平成27年度、28年度のモデルはシートを1枚挿入したモデルであった。平成29年度はさらに臨床の病態に近い動的圧迫モデル(シートを椎間を中心にして脊髄の長軸方向に縦に2枚留置し、シートの間の部分における可動性による動的な脊髄圧迫を惹起するモデル)の作成を試みる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初目標では平成28年度中に「動的因子を加味した新しいラット圧迫性脊髄症モデル」を確立するとしていたため、研究はやや遅れてはいるものの、動的モデルの先行として行った静的モデルについては順調に結果が得られており、計画は推進している。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度に施行したシート1枚挿入時に培った技術をもとに、引き続き本研究の中心的なテーマである、動的因子を伴ったモデルの作成および評価を行う予定である。またモデル動物に対する神経保護薬の投与実験を検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
1.平成28年度は平成27年度の研究の継続課題であったため、新たな動物、物品の購入が無かったため。 2.平成28年度は当該研究の内容に関する学会発表を2度行っているが、旅費は他の研究費より賄ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は本研究のメインテーマである「動的因子を加味した」研究をスタートする。このため新たな動物の購入や物品の購入が必要となることが予想される。 平成28年度に使用しなかった研究費を平成29年度研究計画に充てたいと考えている。
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