動的因子を再現した圧迫性脊髄症ラットモデルの確立に向け前年度に引き続き検討を行った。8週齢雌性SDラットを用い、C4-C5椎弓下に連続したシート1枚を挿入する1枚シート群6匹、C4およびC5椎弓下にシートを1枚ずつ計2 枚挿入する2枚シート群6匹、シート2枚挿入後直ちに抜去するSham群6匹の3群比較とした。水膨張性ポリウレタンエラストマーを5×3×0.7mmのシート状に採型して用いた。作成したラットを経時的に行動評価を行った。また最終的に組織学的評価を併せて施行した。 FLS score、BBB score平均値は、術後2枚シート群は1枚シート群より低値、すなわち重症であった。von-Frey testでは、2枚シート群はSham群に対して著明な痛覚閾値の上昇を認めた。2枚シート群のみの集計では、FLS scoreと疼痛閾値の負の相関が見られ、前肢機能が重症な個体ほど痛覚鈍麻が高度であった。組織評価では、前角神経細胞数、皮質脊髄路髄鞘面積のいずれも2枚シート群での減少がより高度であった。 結論としてシートを2枚挿入し動的因子を模したモデルは、シート1枚挿入モデルと比較し、より重度の脊髄症を認めた。
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