研究課題/領域番号 |
15K10393
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
波呂 浩孝 山梨大学, 総合研究部, 教授 (10313264)
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研究分担者 |
原 康 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 教授 (00228628)
安藤 隆 山梨大学, 総合研究部, 講師 (10377492)
高橋 淳 信州大学, 医学部附属病院, 講師 (60345741)
大場 哲郎 山梨大学, 総合研究部, 助教 (70456490)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 椎間板変性 / 炎症賦活メカニズム / 椎間板変性犬モデル / 抗サイトカイン療法 |
研究実績の概要 |
椎間板変性のメカニズムを特定することは、腰椎疾患の成因解明に極めて重要である。我々は、これまでに椎間板ヘルニア退縮のメカニズムを同定してきており、炎症性サイトカイン(TNF-α、TWEAK、MCP-1)や蛋白分解酵素(MMPs)や血管新生因子(VEGF)やマクロファージの遊走が、重要であることが明らかとなっている。椎間板ヘルニア退縮と椎間板変性の機序において、いずれも炎症に起因することがわかっており、今回、これら一連のメカニズムのイニシエーターを同定すべく、実験を行った。椎間板内には炎症誘導作用を有するプロテアーゼ受容体PAR(protease-activated receptor)-2の発現がみられ、炎症性サイトカインInterleukin(IL)-1βの発現を誘導し分解酵素MMP-3およびMMP-13mRNAの発現を促進することが分かった。以前に、我々はリン酸タンパクであるOsteopontin(OPN)をMMP-3、MMP-7、トロンビンが切断し活性化することを報告した。OPNは炎症性細胞の走化能を有する。よって、椎間板変性過程の惹起や炎症活性化のメカニズムにMMPによるOPN、PAR-2の活性化に関与している可能性がある。 現在、マウス椎間板における組織培養を行い、PAR-2の刺激に対する炎症性サイトカインや血管新生因子の反応を検討している。細胞Xとの共培養、細胞Xから放出されるサイトカインYが、椎間板のPAR-2の基質分解し、活性化させている可能性のある実験結果を得ている。今後は、PAR-2基質分解とこれによる活性化のシステムをin vitroで明らかにすること、また、この断片化され活性化したPAR-2による椎間板への炎症、分解作用について検討することが目的となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画のMMP-7を含むMMPsでのPAR-2の基質分解と椎間板細胞(線維輪)ので活性化は確認できたが、①科学的な直接的反応であるのか、②受容体を介した反応であるのか、③その他の反応の2次的なものであるのかが証明できていない。 今後はレセプターの同定(PAR-1,2,3,4)や細胞内シグナルなどのシグナル伝達経路を解明する計画である。達成度としては70%程度と考える。
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今後の研究の推進方策 |
PARのレセプターは、現在4種類存在することが知られているが、今回の反応がどのレセプターを介して起こっているかを、アンタゴニストやアゴニストやノックアウトマウスを用いて同定する。また、PCR法やWestern Blotting法を用いて細胞内シグナルの検討を行う。 その実験結果をもとに、最適な標的分子を同定し、実際に自然発症腰椎変性ビーグル犬を用いて抗サイトカイン療法を行い、椎間板変性の抑制の評価および治療効果の検討を行う。具体的には、若年ビーグル犬に、サイトカインYのアンタゴニストなどを経皮的に投与する。評価は、MRI、歩行可能距離、四肢筋力などにて治療効果の検討を行う。
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