研究課題/領域番号 |
15K10400
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
岩月 克之 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (90635567)
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研究分担者 |
下田 真吾 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 連携ユニットリーダー (20415186)
寳珠山 稔 名古屋大学, 脳とこころの研究センター, 教授 (30270482)
栗本 秀 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (70597856)
平田 仁 名古屋大学, 予防早期医療創成センター, 教授 (80173243)
山本 美知郎 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (90528829)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 疼痛 / 手根管症候群 / 脳磁図 |
研究実績の概要 |
上肢疼痛患者の脳皮質領域の活動を抽出し、異常感覚が生じる病態を明らかにすることを目的とし、手根管症候群患者に対し、手術前、手術後6か月において脳機能解析を行った。手根管症候群患者は患側の正中神経を手関節部で電気刺激し体性感覚誘発脳磁場を計測した。単発刺激に加え10,40,80,200msの刺激間隔の2発刺激により誘発された体性感覚誘発脳磁場より刺激後20msに出現する体性感覚誘発脳磁場成分(N20m)の振幅の回復曲線を算出し、年齢対照群と比較した。また感覚関連皮質相互の波の伝播を観察するため、刺激後0~300msの間に生じた脳磁場について、感覚関連皮質間の連関を周波数帯域別にcoherence 分析を用い数値化した。2連続刺激により得られる体性感覚誘発脳磁場の回復曲線は手根管症候群患者で早期に回復しており、感覚皮質での抑制的神経活動が減少していることが示された。手根管症候群患者は正中神経の皮膚感覚支配領域からの感覚入力が障害され、対応する皮質受容野内での機能構築が不明瞭となった。母指および中指の皮膚電気刺激によって得られる体性感覚誘発脳磁場の推定電流源間距離は手根管症候群患者で年齢対照群より短かかった。さらに波の伝播は、1次、2次体性感覚野、島皮質、前帯状皮質などでの周波数対応に対象群との差が認められた。脳内の感覚野や感覚関連野の自発性皮質活動に変化が生じていた。感覚皮質の機能変化は、異常な感覚や痛みが持続する病態を示している可能性があると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
手根管症候群患者における脳機能解析を中心に順調に症例登録がすすんでいる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き症例登録を行い解析を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
以前に購入した試薬がまだ使用可能であったため、こちらを使用しているので物品用の費用が少なめになった。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度試薬などが無くなり次第、物品購入にあてていく。
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