研究課題
今年度も複合性局所疼痛症候群、切断患者、手根管症候群などの神経障害患者などを中心に脳機能解析を行った。複合性局所疼痛症候群では対象とし安静閉眼時の脳波と脳磁図を測定した。脳磁図は研究実施機関(160チャンネル軸型脳磁計・名古屋大学)、脳波は国際10-20法・単極19誘導にて測定した。30秒間の脳活動記録について144の皮質小領域(Destrieux atlasによる)に分割した大脳皮質各部位の皮質時系列活動を推定した後、活動関連指数としてα帯域(9-12Hz)の皮質間脳活動のコヒーレンス(coherence)値を算出した。複合性局所疼痛症候群の臨床症状評価指数には疼痛のVisual Analogue Scale(VAS)用いた。患者と同年代の健常者(VASは0)からも同様に脳活動を記録し、患者と健常者を含めた測定群においてVASと皮質間coherence値の相関を解析した。脳波と脳磁図いずれにおいても、帯状回周囲と島皮質の神経活動連関指数が自覚的疼痛および複合性局所疼痛症候群の臨床重症度指数に相関を示した。脳波記録による結果は脳磁図記録による結果よりも計測値と相関のばらつきが大きかったものの、同様な結果を示した。このことからEEG記録と解析は、一般臨床施設で利用可能な複合性局所疼痛症候群の客観的かつ汎用性のある評価方法となりうると考えられた。機能MRIでは患者群は、側坐核-海馬傍回、内側前頭前野-脳幹部、角回-脳幹部、外後頭皮質-脳幹部、中側頭回-小脳の機能的結合に変化が生じているなど機能的結合の特徴を見い出すことができた。
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ペインクリニック
巻: 38 ページ: 473-475
神経内科
巻: 86 ページ: 473-475
PAIN RESEARCH
巻: 32 ページ: 1-6