研究課題/領域番号 |
15K10404
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大槻 文悟 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 特定病院助教 (30646766)
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研究分担者 |
藤林 俊介 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 特定教授 (30362502)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | PEEK / チタンコーティング |
研究実績の概要 |
PEEKにコントロールを含む5種類の表面処理(blast法, sol-gel法, 酸処理の組み合わせ)を行った材料を作成し、アパタイト形成能や表面性状の電子顕微鏡での観察、表面粗さやコーティング層の引き剥がし試験を行った。これらの研究から、sol-gel法、blast法どちらによっても均一な約30nmのチタンコーティングが見られ、酸処理により良好なアパタイト形成能が獲得された。材料表面で日本白色家兎より抽出した骨髄間葉系細胞の培養を行ったところ、チタンコーティングの表面での細胞の活発なアクチンフィラメントの形成が見られ、細胞接着能が高いことが示された。また細胞増殖能もチタンコーティング材料で優れた結果を示した。アルカリフォスファターゼ活性についてはblast法またはblast+sol-gel法を用いた材料で高い傾向がみられblast法によるコーティングが細胞接着や骨分化に適している可能性が示唆された。さらにこれらの材料を用いた、日本白色家兎脛骨への埋入試験を行ったところ、埋入後8週ではblast+sol-gel法を用いた材料で有意に骨との結合力が高いことが引っ張り強度試験を用いて示された。組織切片を用いた解析を行ったところblast+sol-gel法でのコーティング群では有意に表面の新生骨量が高く、骨組織と直接結合している所見が示された。また引っ張り強度試験後の切片には骨組織が接着しており、PEEKのコーティングが剥がれている所見は認めなかった。以上の実験からわれわれの開発したblast+sol-gel法によりチタンコーティングは高い骨伝導能を有し、コーティング層の強度も十分であると考えられることから臨床応用が期待されると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
動物実験における、動物の死亡例や結果のばらつきが少なかったことから進捗が速くなったと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
blast+sol-gel法を用いたインプラントの臨床応用に向けて、より臨床応用に近い実験系が必要と考えられる。そこで、ビーグル犬を用いた頚椎前方固定モデルを作成し、作成した椎体間ケージの臨床成績に優位性が見られることを確認する。犬の椎体間固定は非常に癒合しにくいことがこれまでのわれわれの実験でも明らかとなっているため、早期に骨癒合が得られれば、材料の有用性が示されると考えている。 また材料表面のコーティング層の厚みに関しては明確な測定ができていないことから引き続き測定を行っていく予定である。
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