研究実績の概要 |
ビーグル犬を用いた頚椎前方固定モデルの予備実験を行い、手術方法や評価方法を確立した。その後、コーティングインプラント(Sol-gel法)と未処理インプラントをランダムにC3/4, C5/6に割付け、ビーグル犬に埋入した(n = 5)。手術後3ヶ月後に、評価を行った。まずmicro-CTを用いたインプラントと骨との癒合に関しては未処理群が癒合率0%であったのに対し、コーティング処理群では60%で骨癒合を認めた。実際に組織とインプラト間に応力を加えてその固定性を確認したところ、未処理群では癒合率0%であったが、コーティング処理群では40%で癒合と判定できた。続いて、組織学的評価をおこなった。未処理群ではPEEKと骨との結合率が3.2%であったのに対し、コーティング処理群では32.6%の骨結合率を示した。 これまでの実験から日本白色家兎で応力のかからない部位(脛骨)での骨結合能に関して、コーティング処理の優位性は示されていたが、本年度の研究から、応力がかかる部位でも優位性があり、さらにビーグル犬という比較的大きな哺乳類でもその効果があることが示されたことにより、本コーティング処理法がヒトでの臨床応用が十分実用化される可能性が示唆された。特に犬の椎体間固定は固定を得ることが困難であることが知られており、本研究で用いた処理方法の優位性が示された結果となった。 本研究はPLoS Oneに投稿し、受理された (Shimizu T, et al. In vivo experimental study of anterior cervical fusion using bioactive polyetheretherketone in a canine model. PLos One 2017 Sep 8;12(9))
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