研究実績の概要 |
引き続きGWAS疾患感受性ゲノム領域から候補遺伝子を選んでOPLL組織における発現を、免疫組織化学染色で検討を継続した。またそれぞれの遺伝子の骨軟骨関連細胞株、線維芽細胞株における定常状態の発現レベル、およびそれぞれの細胞の分化誘導時の発現変化をRT-qPCRで検討した。siRNAによるノックダウンによる分化への影響を、軟骨細胞分化誘導刺激の有無で比較検討した。候補遺伝子のうち、STK38L、CDC5L, CCDC91、PLCB1、RSPO2について、OPLL臨床組織サンプル に対して免疫組織化学染色を行なった。その結果、いずれの蛋白もOPLL変性靭帯細胞に強い発現を認めた。STK38LとCDC5Lについては軟骨様変性靭帯細胞にも発現を認めた。STK38LのsiRNA実験では、10T1/2細胞やST-2細胞など間葉系未分化細胞の骨芽細胞分化commitmentを抑制し、軟骨細胞分化を促進した。しかし、成熟した骨芽細胞においてはSTK38L siRNAは分化成熟を促進したので、骨芽細胞分化においては2面性を有することが分かった。したがってSTK38Lは軟骨変性には抑制的にはたらくが、骨化過程は促進する可能性がわかった。一方、CDC5L siRNAは、骨芽細胞分化早期を促進し、後期成熟を抑制したので、STK38Lとは逆の2相性を示した。逆に軟骨細胞分化はsiCDC5Lで抑制された。したがって、CDC5Lは軟骨変性を促進する一方で骨化そのものには抑制的に働く可能性が示唆された。
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