研究課題
脊椎の構成体である椎間板の変性は腰痛の一因となり、臨床的に大きな問題となる。椎間板変性は、加齢性変化に、メカニカルストレス、炎症性サイトカインの暴露、栄養供給機構の破綻が加わりで椎間板の構成細胞と基質が減少し、構成細胞が変化することに起因している。また、椎間板は無血管組織であることや椎間板構成細胞の増殖能が低いため、いったん変性すると自己修復は期待できない。近年、様々な細胞においてオートファジーによる細胞内品質管理、抗老化作用、抗アポトーシス効果が報告され、加齢などによるオートファジーの低下が細胞死や組織変性に寄与していると考えられている。オートファジーは低栄養、低酸素、メカニカルストレスなどによって誘導されるストレス応答反応であり、椎間板は元来、低酸素・低栄養状態の環境にあることから恒常的にオートファジーが生じている可能性が考えられる。しかし、椎間板のオートファジー機構について過去の報告は単層培養下におけるもので、三次元培養や器官培養などより生体内に近い環境下で検証する必要がある。白色家兎の椎間板組織から髄核細胞、線維輪細胞、終板軟骨細胞を単離し、平板培養および三次元培養を行った。また、椎間板組織の器官培養も併せて行った。 静水圧負荷のパラメータ(周期、時間、強さ)を変更しながら、より生体に近い条件下でストレスをかけ、オートファジー関連因子を 免疫染色とWestern blotting法を行った。 現在、オートファジー阻害剤の投与やオートファジー関連遺伝子の導入により椎間板における細胞品質管理の評価、細胞老化マーカー 評価、アポトーシスの評価を行っている。