我々は、脊椎ナビゲーションシステムから内視鏡カメラ、手術用ドリルの位置情報をシミュレーターにリアルタイムに送ることで、 内視鏡手術の術野画面とシミュレーターの仮想内視鏡画面を同時に画面に表示し、解剖学的な位置確認ができると同時に、手術の進行 とともに仮想内視鏡でもリアルタイムに骨切除を確認しながら手術を進めることができる次世代ナビゲーションの開発をおこなっている。2018年度は、我々のシミュレーターが、今までの脊椎内視鏡(MED system)に加えて、経皮脊椎内視鏡(PED system)に応用できるかどうかを検討した。まず脊椎内視鏡スコープと経皮脊椎内視鏡スコープの視野特性の違いについて、視野、画像の歪み率を測定して検討をおこなった。経皮脊椎内視鏡スコープの視野は脊椎内視鏡スコープの視野に比較し、50%程度であった。レンズの歪み率に関しては差はなかった。実際の経皮脊椎内視鏡手術に際して、シミュレーターを用いたが、術野とシミュレーターの画像はほぼ一致しており、骨切除は計画どおり、おこなうことができた。経皮内視鏡は、硬性の鏡筒の内部にワーキングスペースがあるフル内視鏡であり、処置具の自由度がないため、鏡筒の位置情報が得られれば、処置具先端の位置情報が簡単に得られる。視野も狭く、初心者にとっては、オリエンテーションの把握が困難な手術であり、本研究のナビゲーションの拡大応用のよい適応と考えられた。
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