研究課題/領域番号 |
15K10420
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
藤田 順之 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (30348685)
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研究分担者 |
松本 守雄 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (40209656)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 椎間板 / 髄核 / FSTL1 |
研究実績の概要 |
我々は脊索腫細胞株U-CH1-N細胞を用いて、髄核細胞との類似性を検証した結果、3次元培養したU-CH1-Nは髄核の分子マーカーであるBrachyury (T)、CD24、Cytokeratin19の発現が高く、更には軟骨基質であるAggrecanやType II collagenの発現も高く、長期に培養したところ、アルシアンブルー陽性であり、脊索由来の髄核細胞と分子生物学的に非常に類似した特徴を持つ細胞株であることが判明した。これまでに報告された脊索腫細胞株は増殖能が低いことが知られているが、U-CH1-N細胞は、他の脊索腫の細胞株と比較してdoubling timeが短いことが知られており、本細胞株に対してカチオン性脂質を用いた遺伝子導入でも高い導入効率を示し、分子生物学的手法を用いた研究においても非常に有用であり、今後の更なる低酸素環境を含む髄核の微小環境の解析において、有用なtoolとなる事が期待される。我々は本細胞株を用いてFSTL1の機能解析を行った。FSTL1をレンチウイルスを用いて、その発現をノックダウンさせると、炎症性サイトカインのIL-6やTNF-alfaの発現が上昇し、逆に軟骨特異的な細胞外マトリックスであるaggrecanやtype II collagenの発現は減少した。またWestern blot法にてFSTL1がNF-kappaBのシグナルを制御していることも示唆された。Wister Ratにおいては 加齢と共に髄核におけるFSTL1の発現が減少することが判明し、FSTL1が髄核における恒常性維持に関与していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
FSTL1の髄核における機能を、組織特異的にFSTL1の発現を欠失させ、in vivoにおいて解析を行ったものの、明らかなphenotypeは認められなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
上記研究内容については In vitro解析での結果を発表する予定である。その他、我々は現在、椎間板変性と小胞体ストレスの関係にも注目している。小胞体内に不良タンパク質が過剰に蓄積した小胞体ストレスにはIRE1α, ATF6, PERKの3つの経路を介した応答システム(Unfolded Protein Response: UPR)が存在し、これまでにUPRが骨代謝や軟骨変性、神経変性疾患に関与することは報告されているが、椎間板変性と小胞体ストレスの関係については不明な点が多かった。我々は、UPRのうちPERK-ATF4-CHOP経路について注目しており、今後、椎間板細胞における本シグナルの重要性について検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は5008円であり、細かな調整が困難であったため
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次年度使用額の使用計画 |
研究に用いる消耗品の補助として使用する予定です
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