研究実績の概要 |
①成人由来未分化筋細胞の増殖及び筋分化を抑制あるいは促進する因子の同定 ②成人由来未分化筋細胞のストレス刺激に対する細胞応答の解明
1. 成人由来未分化筋細胞は、増殖培地pmGM中で培養すると24-30時間の細胞周期で分裂する。この迅速な細胞増殖は、ウシ胎児血清FBSと培地添加物Ultroser Gに依存していた。Ultroser Gは、成長因子等の混合物であり、組成は公表されていない。そこで、FBSと筋細胞の増殖制御への関与が報告されている7因子(bFGF, HGF, IGF-I, IGF-II, PDGF, IL-6, グルココルチコイド)の増殖促進効果を、多検体用画像解析装置(GE社、In Cell Analyzer2000)を用いて詳細に検討した。FBSについては、濃度依存的な増殖促進効果は認められたものの、高濃度(20%)のFBSを添加した場合でも、単独ではきわめて僅かな効果しか認められなかった。一方、20%FBSと7因子全てを添加すると、20%FBSとUltroser Gに匹敵する高い増殖促進効果が認められた。FBS以外の7因子を様々に組み合わせて増殖促進効果を検討したところ、bFGF, HGF, IGF-I およびグルココルチコイドの4因子を加えると、ほぼUltroser Gに匹敵する増殖促進が認められた。 2. 成人由来未分化筋細胞に、高濃度の過酸化水素(0.5-1 mM)を負荷すると、細胞死が誘導された。しかし、細胞死をもたらさない、軽微な酸化ストレス(50 μM 過酸化水素、2時間)に曝されると、細胞は細胞周期をG1で停止し、S期には入らなかった。このとき、bFGFとグルココルチコイドを添加すると、成人由来未分化筋細胞における細胞周期の停止は解除された。
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