研究課題/領域番号 |
15K10428
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
森 優 東北大学, 大学病院, 助教 (70634541)
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研究分担者 |
花田 修治 東北大学, 金属材料研究所, 名誉教授 (10005960)
正橋 直哉 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (20312639)
森 菜緒子 東北大学, 大学病院, 助教 (90535064)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 人工関節 / 低弾性チタン合金 |
研究実績の概要 |
TiNbSn合金イヌ人工股関節ステムの作製が完了した。10kgの雄のビーグル犬の大腿骨CTの解析からイヌ大腿骨髄腔に適合するデザインのステムを3サイズ作製した。TiNbSn合金ステムの弾性率は55GPaであることをステム製作後に測定して確認している。今回のステムには加熱処理は行っていない。同様のデザインで従来金属であるTi6Al4V合金のイヌ人工股関節ステムを作製した。Ti6Al4V合金ステムの弾性率は110GPaであった。大腿骨ラスプ、臼蓋、大腿骨のリーマーなどの手術機械の調整中であり、調整の終了後に実際に10kgの雄ビーグル犬に人工股関節を施行し、術後にCTを撮影して、ステム周囲の骨新生の観察、FEMを用いた応力解析、人工関節周囲の骨組織評価を行っていく予定である。 並行して、TiNbSn合金の陽極酸化処理による骨親和性の改善効果と、TiNbSn合金の特徴である低弾性が骨癒合促進に与える影響の検討を行っている。ウサギ脛骨モデル、マウス脛骨モデルにはおいてTiNbSn合金群が、ステンレススチール群あるいはTi6Al4V群に比して骨折部仮骨において骨新生の形成亢進が確認された。癒合後の骨強度も今後評価し、低弾性金属材料の骨癒合促進効果についても明らかにしていきたい。 酢酸陽極酸化による骨親和性の改善効果についての学術論文がPLoS Oneに掲載された。 Tanaka H, Mori Y, Noro A, Kogure A, Kamimura M, Yamada N, Hanada S, Masahashi N, Itoi E. Apatite Formation and Biocompatibility of a Low Young’s Modulus Ti-Nb-Sn Alloy Treated with Anodic Oxidation and Hot Water. PLoS One 2016; 11(2): e0150081. また低弾性チタン合金の骨癒合に与える影響についての論文も現在投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TiNbSn合金イヌ人工股関節ステムの作製が完了した。10kgの雄のビーグル犬の大腿骨CTの解析からイヌ大腿骨髄腔に適合するステムを3サイズ作製した。同様のデザインで従来金属であるTi6Al4V合金イヌ人工股関節ステムを作製した。手術機械の調整中であり、調整の終了後に実際に10kgの雄ビーグル犬に人工股関節を施行し、FEMを用いた応力解析、人工関節周囲の骨組織評価を行っていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
作製したTiNbSn合金ならびにTi6Al4V合金のイヌ人工股関節ステムを用いて人工股関節置換術を行う予定である。良好な設置が得られていることを確認後に術後6,12,18ヶ月での人工股関節周囲の骨新生、FEMを用いた人工股関節周囲の応力分析、骨組織での応力遮蔽による骨萎縮反応の解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては、消耗品の購入が若干少なかったことが挙げられる。
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次年度使用額の使用計画 |
翌年度分として請求した助成金と合わせて、今回生じた繰り越し金は消耗品の購入、実験動物の購入に使用する予定である。
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