研究課題/領域番号 |
15K10429
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
綿貫 宗則 東北大学, 大学病院, 講師 (90451575)
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研究分担者 |
西條 芳文 東北大学, 医工学研究科, 教授 (00292277)
萩原 嘉廣 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (90436139)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 光音響顕微鏡装置 / 術中イメージング / 軟部肉腫 |
研究実績の概要 |
前年度に絞り込みを行った腫瘍を特異的に染色する色素を用いて、まず既存の波長固定レーザーを用いて光音響波が測定できるかどうかを検討した。わずかに光音響波が検出できたもののバックグラウンドとの判別は困難だった。使用できるレーザーの波長が候補となる色素の吸光スペクトルのピークからははずれているため、十分な励起が行えていないことが原因と考えられた。 つぎに新規開発された波長可変レーザーで同様の評価を行ったところ、色素の吸光スペクトルのピークに近い波長を使用することで色素からの光音響信号が十分測定可能であることが確認できた。当初色素の検出限界濃度は1mg/mlであったが、計測系の最適化をすすめた結果、現在色素の濃度が10ug/mlでも十分な光音響波を取得することが可能となっている。 次に、色素が生体内にあっても検出可能かを検証するために、マウスの筋肉内に溶解した色素を直接注入し、波長可変レーザーで光音響波が検出できることを確認した。 さらに筋肉組織内での色素の分布が現在のシステムで2次元イメージとして取得可能かどうかを確認するため、色素を含むアガロースゲルの小片を作成しこれをマウス筋肉内に包埋した筋肉内腫瘍の疑似モデルを作成した。この疑似腫瘍モデルを光源に波長可変レーザーを用いた光音響顕微鏡にて観察をおこない、筋肉内のゲルの形状を、光音響信号をもとにした2次元のイメージ画像として実際に取得できることを確認した。また、色素を投与した培養細胞からも光音響信号が測定できることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
候補となる色素の励起波長に対応できる波長可変レーザーの開発、最適化に時間を要した。 また、波長可変レーザーを用いた2次元イメージング装置の稼働にも時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
肉腫培養系での候補物質の取り込み効率を確認し、投与する物質の至適濃度を検討する。培養細胞内にどの程度残留するかについても評価をおこなう。肉腫をヌードマウスに移植した担癌モデルを作成し、候補物質を投与し生体内での肉腫組織の可視化モデルを確立する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は波長可変レーザー発信器の調整と波長可変レーサーを用いた光音響顕微鏡の作成及び観察条件の最適化に多くの時間を要し、本研究の支出の大部分を予定していた腫瘍細胞培養およびモデル動物作成まで研究が進まなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
腫瘍細胞培養系とモデル動物での組織評価まで行う系を同時進行させ次年度内に研究の完遂をめざす。
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