研究課題/領域番号 |
15K10431
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
河野 博隆 帝京大学, 医学部, 教授 (20345218)
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研究分担者 |
小林 寛 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20407951)
澤田 良子 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30648308) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 骨軟部腫瘍 |
研究実績の概要 |
デスモイド腫瘍は小児から成人までの四肢及び体幹に発生し、非常に強い局所浸潤傾向を示す腫瘍性疾患であり、転移をすることはないが、局所浸潤性が強く、運動器の機能障害を生じ、時に重要臓器への浸潤のため致死的となる。治療は、手術療法および薬物療法があるが、標準的治療方法は確立していない。デスモイド腫瘍の発症には、Wnt/β-cateninシグナル異常の存在が知られているが、これらの遺伝子異常のないデスモイド腫瘍が存し、APC遺伝子の異常による家族性大腸腺腫症患者のデスモイド腫瘍罹患率が10%と低いことから、他のデスモイド腫瘍のドライバー遺伝子の存在が示唆されている。本研究では、腫瘍のcDNAライブラリーと次世代シーケンサーを用いた網羅的手法を用いて、デスモイド腫瘍の腫瘍原生に関わるゲノム異常を同定し、その病態を解明することで、新規治療ターゲットを探索することを目的とし、研究を行っている。本年度は、デスモイド腫瘍のcDNAライブラリーを用いたデスモイド腫瘍ドライバー遺伝子の探索を目的として、デスモイド腫瘍のcDNAライブラリーの作成を行ったが、腫瘍原生能をもつ遺伝子の同定はできなかった。異なる腫瘍検体を用いて同様の解析を再度行って行く予定である。また、次世代シーケンサーを用いた網羅的遺伝子解析によるデスモイド腫瘍の遺伝子異常の探索のために検体を収集したが、既知のWnt/β-cateninシグナルの異常が見られるが、今のところ新規の遺伝子異常は検出されていない。現在、RNA-sequenceを行い、遺伝子発現のクラスタリングを行い、臨床的に不均一性のあるデスモイド腫瘍の臨床像と遺伝子発現の関係を探索している今後は、上記2つの手法を用いて研究を推進して行く予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度は、デスモイド腫瘍のcDNAライブラリーを用いたデスモイド腫瘍ドライバー遺伝子の探索を目的として、デスモイド腫瘍のcDNAライブラリーの作成を行った。本年度は、これを細胞株にレトロウィルスベクターを用いて強制発現し、腫瘍原生に関与する遺伝子の探索を行った。これにより腫瘍原生に関与する遺伝子の同定が期待されたが、cDNAライブラリーの導入によって腫瘍化し、さらにその遺伝子を単独で遺伝子導入して腫瘍原生能がみられたものは今のところ検出されていない。再度cDNAライブラリーを作成し、同様の検討を行っているところである。また、次世代シーケンサーを用いた網羅的遺伝子解析によるデスモイド腫瘍の遺伝子異常の探索のために検体を収集している。既知のWnt/β-cateninシグナルの異常が見られるが、今のところ新規の遺伝子異常は検出されていない。RNA-sequenceを行い、遺伝子発現のクラスタリングを行い、臨床的に不均一性のあるデスモイド腫瘍の臨床像と遺伝子発現の関係を探索している。今後も、上記2つの手法を用いて研究を推進して行く予定である。
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今後の研究の推進方策 |
デスモイド腫瘍のcDNAライブラリーを用いたデスモイド腫瘍ドライバー遺伝子の探索を目的として、デスモイド腫瘍のcDNAライブラリーの作成を異なる腫瘍検体を用いて再度行っている。これを細胞株にレトロウィルスベクターを用いて強制発現し、腫瘍原生に関与する遺伝子の探索を行っていく。また、次世代シーケンサーを用いた網羅的遺伝子解析によるデスモイド腫瘍の遺伝子異常の探索のために検体をさらに収集していく。RNA-sequenceを行い、遺伝子発現のクラスタリングを行い、臨床的に不均一性のあるデスモイド腫瘍の臨床像と遺伝子発現の関係を探索している。今後も、上記2つの手法を用いて研究を推進して行く予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
作業の遅れにより購入物品執行に至らなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
未使用分と平成29年度交付額とをあわせてシーケンサー試薬ベクターキット等実験消耗品を購入する。
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