研究実績の概要 |
2003年以降本学倫理委員会の承認と患者さんからのインフォームドコンセントの元に保存した骨軟部腫瘍の凍結切片および抽出RNA115検体について(正常脂肪組織を標準とした定量PCRをトリプルセットで施行(Sasaki T, Ogose A, BMC Cancer 2014にて報告した方法)しCDK4遺伝子の発現量を定量評価した。現在までに高分化型脂肪肉腫、脱分化型脂肪肉腫には既報のごとく、例外なく高いCDK4の発現が認められている。それ以外の腫瘍についてはMPNST,未分化多型肉腫の一部に比較的高い発現がみれていることを確認した。また意外なことにある種の良性腫瘍においても時にCDK4が好発言している症例があることを確認した。現在さらに解析検体を増やして全体の傾向を把握中である。 脱分化型脂肪肉腫培養細胞NDDLS-1と線維肉腫HT1080に関してin vitroにてXTTアッセイを用いてCDK4阻害剤PD0332991(Palbociclib), LY2835219のIC50を求めた。これら2剤はいずれも米国において乳がんを中心に臨床試験が進行中であり,かつ研究試薬メーカーからの購入が可能な薬剤である。NDDLS-1はCDK4の発現が高く、HT1080は平均的なCDK4発現を持つ肉腫細胞である。現在までの実験で有意な差をもって脱分化型脂肪肉腫は線維肉腫細胞に比してCDK4阻害剤の効果が強く、臨床使用に有用な薬剤である可能性が示された。現在他の肉腫細胞(骨肉腫、軟骨肉腫、滑膜肉腫、類上皮肉腫など)合計10細胞株を用いて実験を追加している。
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