研究実績の概要 |
明細胞肉腫モデルマウスに発生したEWS/ATF1誘導性肉腫細胞G1297 (Yamada. et.al, JCI 2013)を使用して,肉腫細胞由来iPS細胞を作製した。樹立した肉腫iPS細胞は分化多能性を有しており,blastocyst injectionによりキメラマウスが得られた。G1297はドキシサイクリン(Dox)投与によってEWS/ATF1発現が誘導できる特徴をもつ。キメラマウスにDoxを投与し、体内のあらゆる臓器にEWS/ATF1発現を誘導したところ、肉腫は明細胞肉腫の好発部位である皮下及び筋膜周囲に特異的に発生しており,その他の臓器では明らかな腫瘍形成を認めなかった。本研究から,発がんにおける特異的細胞種の重要性が浮かび上がった。詳細な起始細胞を同定するため、想定される細胞種特異的なEWS/ATF1発現を誘導すべく、遺伝子組換えシステムを構築した。Rosa26-stop-EWS/ATF1マウスおよびRosa26-stop-rtTA/TetO-EWS/ATF1マウスを作製、さらにScx-CreERT2、Sox10-CreERT2、Tppp3-CreERT2、Mbp-CreERT2マウスを作製、Tyr-CreERT、Mpz-Cre、Krox20-Creマウスを導入した。リネージとレーシングの結果、Tppp3-CreERT2とMpz-Creでのみ腫瘍発生を認めた。EWS/ATF1による細胞種特異的発がんのメカニズムを調査するため、EWS/ATF1のDNAへの結合状態を調査するため、次世代シークエンサーを用いてChIPシークエンスを行った。EWS/ATF1はCreb/Atfのbinding motifeに主に結合していたが、細胞種ごとに特異的な結合領域があることを同定した。
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