研究課題
外傷や悪性腫瘍による末梢神経損傷により神経欠損がおこれば、人としての生活は大きく制限される。欠損部が小範囲の場合は自家神経移植を用いての再建が一般的には行われているが、自家神経移植では採取可能な神経組織に限りがあるため広範な末梢神経欠損の再建は不可能で、この解決法として同種神経移植や人工神経という概念が生まれてきた。万能細胞と呼ばれる間葉系幹細胞には神経再生促進作用があり、現在では3D プリンタ-を用いた細胞性積層化技術により末梢神経のような三次元管腔組織を作成することが可能である。末梢神経欠損モデルを用い、細胞から作成した三次元管腔組織にて神経再生が促進されることを明らかにするのが今回の研究の目的である。ヒト線維芽細胞を用いて96ウェルプレートに細胞を2~3×10^4cells/wellずつ播種しスフェロイド形成を確認後、バイオ3Dプリンターを用いて、内径2mm長さ8mmの三次元管腔組織を作成した。免疫不全ラットの坐骨神経を用い、5mm の神経欠損部を作成した管腔組織にて架橋した(n=5)。神経欠損部作成しシリコンチューブで架橋したものをコントロール(n=5)とした。術後8週でコントロール群と比較し実験群では足部内転筋での有意な活動電位が認められた。また動作解析でもコントロール群と比較し有意に下肢自動運動の回復が認められた。再生神経の電子顕微鏡像ではコントロール群と比較して実験群では優位な再生軸索数が認められた。移植細胞をトレースするとConduitの形で再生神経内に確認することができ、シュワン細胞と密に存在していた。
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PLoS One.
巻: 12 ページ: e0171448
10.1371/journal.pone.0171448.