研究課題/領域番号 |
15K10444
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構四国がんセンター(臨床研究センター) |
研究代表者 |
魚谷 弘二 独立行政法人国立病院機構四国がんセンター(臨床研究センター), その他部局等, 医師 (30708087)
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研究分担者 |
尾崎 敏文 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (40294459)
藤原 俊義 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (00304303)
藤原 智洋 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (80639211) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 肉腫治療 / ウイルス治療 / 腫瘍融解アデノウイルス |
研究実績の概要 |
【目的】本学で開発された腫瘍融解アデノウイルス(テロメライシン)は、骨軟部肉腫細胞株に対しても抗腫瘍効果を示すことをこれまでに報告してきた。骨軟部腫瘍へのテロメライシンの臨床応用のためにはウイルス感染に適した症例の検索が必要となるが、骨軟部腫瘍のコクサッキー アデノウイルス受容体(CAR)やhTERTの発現を一例ごとに評価することは煩雑である。一方、テロメライシンにGFP遺伝子を 組み込み、細胞内のウイルス増殖により緑色蛍光を発するテロメスキャンも本学で開発されており、肉腫細胞株ではその感染による蛍光発現 がCAR発現に相関することが報告されている。そこで我々はテロメスキャンの臨床腫瘍組織への感染による蛍光発現の評価によりCARおよびhTERTの発現を間接的に評価できるかを検討した。【方法】当科で診断・治療した骨軟部悪性・中間悪性腫瘍56検体を対象とした。検体を細切し、ウイルス投与群、非投与群に分け培養した。ウイルス投与後24および48時間以後に蛍光発現を確認した。またhTERTの発現をPCRで、CARの発現を免疫染色で評価した。【結果】ウイルス感染後24時間での蛍光発現の陽性率は64.3%で、ウイルス感染24時間後から48時間後で経時的に蛍光が増強したものは66.1%であった。CARの発現率は94.1%、hTERTの発現率は37.5%であった。ウイルス投与24時間後の蛍光陽性数はCARの発現強度との相関が有意に認められた。経時的な蛍光の増強にはhTERTの発現が関連する傾向が見られた。【考察】今回の結果から、臨床検体においても24時間後の蛍光発現がCARの発現強度と関連し、経時的な蛍光の増強がhTERTの発現と関連が示唆された。テロメライシンの肉腫への応用に際してウイルスの組織片の投与のみで、ウイルス療法の適応が評価できる可能性が示唆され、今後のさらなる検討が期待される。
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