研究課題/領域番号 |
15K10446
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
杉生 和久 岡山大学, 大学病院, 医員 (10708340)
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研究分担者 |
藤原 俊義 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (00304303)
尾崎 敏文 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (40294459)
國定 俊之 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (80346428)
藤原 智洋 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (80639211)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 腫瘍融解アデノウイルス / 骨・軟部肉腫 / 放射線治療 / 併用療法 |
研究実績の概要 |
in vitroにおいて、滑膜肉腫細胞株(SYO-1)・線維肉腫細胞株(HT1080)・骨肉腫細胞株(HOS)を用いて併用療法における腫瘍細胞のアポトーシスをWestern blotでcleaved PARPの発現を確認することにより評価した。いずれの細胞株においても、ユーイング肉腫細胞株(SK-ES-1)と同様に、放射線治療と腫瘍融解ウイルス(Telomelysin)の併用群では放射線単独治療群と比較してcleaved PARP発現の増強を認めた。この結果より、Telomelysinは放射線治療によるアポトーシスを増強させることが示唆された。 次に、SK-ES-1に放射線治療単独あるいは放射線治療・Telomelysinの併用処理を行い、DNA2本鎖障害によって発現するγH2AXをWestern blotで確認した。Telomelysinとの併用療法では放射線単独治療と比較して、放射線照射後にγH2AXが長時間発現することが確認された。また、蛍光免疫染色でも同様の結果が確認された。この結果から、Telomelysin によりDNA2本鎖切断の修復阻害が遷延することが示唆された。 さらに、ユーイング肉腫細胞株(SK-ES-1)を用いた異所性腫瘍移植マウスモデルを作成し、放射線治療とTelomelysin の併用治療効果を検討した。併用治療群はコントロール群、放射線単独治療群と比較して優位に腫瘍増殖を抑制した。また、組織学的検討においては、Ki-67陽性細胞が有意に減少し、TUNEL陽性細胞が有意に増加していた。この結果から、Telomelysinはマウスモデルにおいても放射線感受性を増強させることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下テーマ毎に記載する。 1.放射線治療単独処理とTelomelysinとの併用処理における細胞死についての検討。SYO-1、HT1080、HOSにおいてもSK-ES-1と同様に、併用処理によるアポトーシスの増強を認めた。 2.Telomelysin による2 本鎖DNA 損傷の修復阻害の有無についての解析。放射線治療にTelomelysinを併用することにより、γH2AXが長時間発現しておりDNA2本鎖切断の修復阻害が遷延していることが示唆された。 3.マウスモデルを用いたin vivo でのTelomelysinと放射線治療の併用による抗腫瘍効果の検討。併用治療群は放射線単独治療群と比較して優位に腫瘍増殖を抑制し、Telomelysinはマウスモデルにおいても放射線感受性を増強させることが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
放射線治療単独処理とTelomelysinとの併用処理における細胞死関連シグナルについて、抗アポトーシスタンパクの発現等に関してさらに詳細に検討する予定である。 線維肉腫細胞株(HT1080)を用いた同所性腫瘍移植マウスモデルを作成し、放射線治療・Telomelysin 併用治療効果の検討や組織学的解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
放射線治療単独処理とTelomelysinとの併用処理における細胞死関連シグナルについてさらに詳細に検討し、さらに腫瘍移植マウスモデルにおいてもさらなる検討が必要であるため。
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次年度使用額の使用計画 |
Western blotやPCRでのタンパク質や遺伝子の発現評価を行うための抗体やマウス購入などを行う予定である。
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