疾患特異的な染色体転座と、その結果生じる融合遺伝子は肉腫の発がんに寄与すると考えられている。染色体転座の発生には、DNA二本鎖切断修復系(相同組換え修復:HR、非相同組換え修復:NHEJ)の異常が関与していると考えられ、本研究ではHR及びNHEJを担う分子群の発現および機能異常を網羅的に解析することを目的とした。各種肉腫細胞における上記因子の発現をGeneChip Arrayにより解析、HRを担う中核因子であるRAD51の細胞内局在とDNA二本鎖切断修復を検討した。その結果、これまで染色体転座はNHEJにより発生すると考えられてきたが、予想に反しHR径路の活性化がみられることが観察された。
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