研究実績の概要 |
骨肉腫は高悪性度骨腫瘍であり、小児や青年期に好発する。集学的治療法の発達に伴い,その予後は改善傾向であるが,肺転移がある症例では依然予後不良である。近年、がん治療で有効な分子標的薬が臨床応用されているが、骨肉腫に対する有効な分子標的薬は臨床応用されていない.一方,CD81はテトラスパニンファミリーの一つで多くのがん種において増殖および転移能に影響を与えると報告されている.CD81を抑制することで骨肉腫を制圧できれば、生命予後の改善が期待できる.われわれは,CD81を特異的に抑制することで多発性の滑膜増殖を抑制し,関節リウマチに対する治療効果を示してきた.この技術を応用することで,骨肉腫に対する抗腫瘍効果を検証し,CD81を標的とする新規治療薬を開発することが目的である.まず,骨肉腫細胞株および臨床献体から得た骨肉腫細胞を用いてCD81の発現を確認する.次に,CD81に対するsiRNA を作製し,siRNA による遺伝子発現抑制効果と抑制条件下での遊走能・浸潤能への影響を評価する.増殖や遊走能において,変化を認めた際には,それらに関与するシグナル伝達経路(MAPKナーゼ経路など)の関与をwestern blotting法で評価する予定である.in vivoへの影響に関しては,CD81を長期的に抑制可能なshRNAもしくはCRISPER/Cas9システムによりCD81をノックアウトした骨肉腫細胞を用いて,腫瘍形成能や転移能(主に肺転移を評価する予定)の比較検討を行い、CD81の役割を明らかにしていく.
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