研究課題
超高齢化社会の到来に伴い、退行変性疾患や外傷による人工関節置換術、脊椎矯正インプラント、人工骨などの生体材料を用いた手術が広く普及している。一方で、開放性骨軟部組織損傷やインプラント設置手術では、治療過程においてインプラント関連感染症を併発する頻度が少なくない。実際の臨床現場においては感染症の発症予防のために術中洗浄や抗生物質投与が実施されるが、これらが十分に奏功しない場合に感染症が発症する。本研究では、感染症予防を目的に発症早期の段階において超音波を用いた生体材料表面の細菌除去と感染症バイオマーカーの探索を実施した。バクテリアル・ルシフェラーゼを発現する黄色ブドウ球菌(S.aureus)(1x108CFU/ml)中にチタン合金を留置し、37℃・24時間培養し金属表面にバイオフィルムを形成させた。続いてLIVE/DEAD(LD)蛍光染色にてバイオフィルムを染色後、①未処理、②乾燥、③生理食塩水洗浄、④高圧洗浄、⑤精製水洗浄、⑥セファメジン洗浄、⑦イソジン洗浄、⑧オキシドール洗浄の臨床現場で試みられている8つの処置に加え、⑨超音波照射をすべて3分間の処置を行った。一定の周波数と出力による超音波照射により金属表面のバイオフィルムの除去が達成できた。特にわれわれが過去に作製した再現性の高い定量的マウス骨髄炎モデル(Infect and Immunity, 2011)を用いて、①コントロール群、②手術(外傷)群、③手術(外傷)+細菌注入群の3群の手術後3日目の末梢血液から血漿を採取し、CE-TOFMSとLC-TOFMSを用いた代謝産物を解析した。上記の①と②と比較し、③で有意な高値あるいは低値を示した代謝産物を感染症バイオマーカーのターゲットとして探索した。今年度の詳細な解析により、手術(外傷)+細菌注入群で血清スフィンゴシンとスフィンゴニンが有意に上昇し、再現性を示した。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)
Spine
巻: 42(17) ページ: 1311-1315
10.1097/BRS.0000000000002082
Global Spine J
巻: 7(6) ページ: 560-566
10.1177/2192568217700115
J Orthop Sci
巻: 22(2) ページ: 266-269
10.1016/j.jos.2016.12.008
巻: in press ページ: in press
in press