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2016 年度 実施状況報告書

膝関節内を模倣する浮遊滑膜幹細胞遊走モデルの開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K10463
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

片野 尚子  東京医科歯科大学, 再生医療研究センター, 助教 (50376620)

研究分担者 関矢 一郎  東京医科歯科大学, 再生医療研究センター, 教授 (10345291)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード再生医学
研究実績の概要

本研究では、変形性膝関節症、前十字靭帯損傷、半月板損傷患者の関節液中には滑膜間葉系幹細胞(滑膜幹細胞)と類似する間葉系幹細胞が、正常膝よりも多いことに着想を得た膝関節内を模倣する浮遊滑膜幹細胞遊走モデルを開発し、関節内組織損傷軽症例に対する薬剤の開発を目指す。
本年度は、昨年度に引き続き、浮遊滑膜幹細胞遊走モデルを用いて、1) 滑膜から間葉系幹細胞が動員されるかどうか、2) 線維性滑膜と脂肪性滑膜で差があるかどうか、の検討をまとめ、査読付き論文(Arthroscopy-The Journal Of Arthroscopic And Related Surgery:IF 3.7)で発表した。変形性膝関節症患者の全人工膝関節置換術施行時に得られた2種の滑膜の比較では、膝蓋上嚢滑膜(線維性滑膜)と膝蓋下脂肪体(脂肪性滑膜)を浮遊させ、7日後のコロニー数の比較 (N=6)の結果、全例で、線維性滑膜の方が脂肪性滑膜よりも多くのコロニー形成を認めた(p<0.05 by Wilcoxon signed rank test)。浮遊滑膜モデルにより、膝関節内では、膝蓋下脂肪体よりも骨や関節包に隣接する線維性滑膜の方が、表面積が大きく、本研究結果から関節液中に動員する間葉系幹細胞の主要な供給源は線維性滑膜と推察された。本結果は、滑膜幹細胞を用いた薬剤開発において直接貢献しうるデータとなった。また、関節リウマチの滑膜においても変形性膝関節症の滑膜と同様に本モデルでコロニー形成されるかどうか、また形成されるのであれば得られたMSCsにOAとの違いがあるかどうか、についての検討を開始した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度に学会発表していた内容は英文論文に掲載された。また、使用する組織の特性が薬剤スクリーニングの指標となるコロニー形成に影響を与えることが確認できたことは、当初の計画を超えた内容であり、今後のスクリーニングシステム設計に有用な情報となった。

今後の研究の推進方策

使用する組織の特性が薬剤スクリーニングの奏功に大きく影響することから、組織の特性解析に関しては十分な検討を行いつつ、研究を進めていく。

次年度使用額が生じた理由

本年度は申請時の予定には含めていなかった低分子化合物スクリーニングシステムに使用する組織の特性に関する研究がまとまったため、論文化を先に行ったことから、システム設計用に確保していた費用が余剰となったから。

次年度使用額の使用計画

これまでの研究結果により、当初の計画では考慮されていなかった、組織の特性がスクリーニング指標に与える影響についてのデータを蓄積することができた。これらのデータを活用し、次年度は、システム開発に必要な試薬・血清等の一括購入を行う。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Fibrous synovium releases higher numbers of mesenchymal stem cells than adipose synovium in a suspended synovium culture model.2017

    • 著者名/発表者名
      Kenta Katagiri, Yu Matsukura, Takeshi Muneta, Nobutake Ozeki, Mitsuru Mizuno, Hisako Katano, Ichiro Sekiya
    • 雑誌名

      Arthroscopy

      巻: 33 ページ: 800-810

    • DOI

      10.1016/j.arthro.2016.09.033.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Harvested cell number varies greater in RA than in OA after a suspended synovium culture2017

    • 著者名/発表者名
      Yuji Kohno, Mitsuru Mizuno, Kenta Katagiri, Koji Otabe, Nobutake Ozeki, Hisako Katano, Keiichiro Komori, Masafumi Horie, Kunikazu Tsuji, Mikio Matsumoto, Haruka Kaneko, Yuji Takazawa, Takeshi Muneta, Ichiro Sekiya
    • 学会等名
      Orthopaedic Research Society (ORS) 2017 Annual Meeting
    • 発表場所
      San Diego Convention Center
    • 年月日
      2017-03-21 – 2017-03-22
    • 国際学会
  • [学会発表] 浮遊滑膜培養モデルにおける関節リウマチ膝および変形性関節症膝の滑膜幹細胞2017

    • 著者名/発表者名
      河野 佑二、水野 満、片桐 健太、小田邉 浩二、大関 信武、片野 尚子、小森 啓一郎、 堀江 雅史、辻 邦和、松本 幹生、金子 晴香、高澤 祐治、宗田 大、関矢 一郎
    • 学会等名
      第30回日本軟骨代謝学会
    • 発表場所
      みやこメッセ(京都市)
    • 年月日
      2017-03-04

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公開日: 2018-01-16  

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