研究課題/領域番号 |
15K10464
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
古賀 英之 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (30594080)
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研究分担者 |
辻 邦和 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (20323694)
宗田 大 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50190864)
関矢 一郎 東京医科歯科大学, 再生医療研究センター, 教授 (10345291)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Synovium / Mesenchymal Stem Cell / Surface Antigen / Differentiation / Proliferation |
研究実績の概要 |
膝滑膜由来の間葉系幹細胞を用いた関節軟骨、半月板の再生医療の有効性、安定性を保証する為には、移植に用いる細胞の量(細胞数)と共に質(可塑性、多分化能)を制御する手技及び評価法の確立が不可欠である。本研究では、その為の学術的基盤を構築することを目標とする。本研究の期間内では以下の2項目に関して検討することを試みる。(1)滑膜由来間葉系幹細胞の増殖を制御するシグナル経路の解析、(2)滑膜由来間葉系幹細胞の可塑性(多分化能)の維持(獲得)に関わるシグナル経路の解析。これらの検討結果に基づいて、最終的には、移植した細胞による組織再生能力の正しい評価法の確立を試み、幹細胞移植による再生医療の高効率化に貢献することを目標とする。 当該年度においては、ヒト滑膜由来間葉系幹細胞において発現が観察される表面抗原の網羅的解析を行い、これまでに報告されていない数種類の幹細胞抗原の同定を行った。また、培養下における間葉系幹細胞の可塑性に関して、培養操作により大きく発現が変化する表面抗原と安定して発現が観察される抗原のグループ分けを行い、間葉系幹細胞の多分化能に相関する都考えられる抗原の絞り込みを行った。 また、間葉系幹細胞の増殖に関わるPDGF(血小板由来増殖因子)の細胞内シグナルの解析を行い、PI3K-Akt経路が、PDGFによる間葉系幹細胞の増殖に中心的に機能していることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度において、間葉系幹細胞の幹細胞性に密接に関与すると考えられる分子の絞り込みを行い、今後解析を行っていく候補分子の同定を行えたこと、さらにPDGFによる間葉系幹細胞増殖の細胞内シグナルに関する考察を得ることができたことから、計画は順調に進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
間葉系幹細胞の細胞系譜の解析を行っていく。採取した膝滑膜から出来るだけ多くの間葉系幹細胞を得ることは、幹細胞移植による関節軟骨、半月板再生医療の成否を決定する重要な項目の一つである。これまでの予備的検討では、in vitroにおける滑膜細胞の培養の過程で、膝滑膜のniche中に存在する幹細胞画分が増殖するだけでなく、滑膜細胞の可塑性(多分化能)の再獲得を誘導している可能性も示唆された。この仮説を検証するため、当該年度において同定した新たな幹細胞表面抗原を用いてより詳細な細胞系譜の解析を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は、今後の解析候補となる表面抗原の同定のためスクリーニングを前倒しで行った関係で、購入試薬(抗体)の計画との乖離が生じたことが主な原因である。
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次年度使用額の使用計画 |
繰越分は、次年度にて計画している試薬の購入代金に充当する予定である。
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