研究課題/領域番号 |
15K10468
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
若林 弘樹 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (50362687)
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研究分担者 |
加藤 祥 三重大学, 医学系研究科, リサーチアソシエイト (30741152)
須藤 啓広 三重大学, 医学系研究科, 教授 (60196904)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 骨粗鬆症 / 骨痛 / 酸感受性受容体 / ビスフォスフォネート |
研究実績の概要 |
昨年度確立した骨粗鬆性疼痛動物モデルを用いて薬物治療による評価・検討を行った。骨粗鬆性疼痛動物モデルはマウスに両側卵巣摘出術(OVX)を行い、骨の粗鬆化に伴って術後4週で下肢疼痛閾値が低下するモデルであり、当該領域の後根神経節では疼痛関連タンパク(calcitonin gene-related peptide (CGRP)および酸感受性受容体であるtransient receptor potential cation channel subfamily V member 1 (TRPV1))の発現が上昇する。 生後8週齢のメスddYマウスに全身麻酔下に、両側卵巣摘出術(OVX)を行い、OVX後にvehicle(V)を投与するOVX-V群、ビスフォスフォネート製剤であるアレンドロネート(ALN)を投与するOVX-ALN群とSham手術後にvehicleを投与するSham群の3群に分けた。OVX4週後にvon-Frey filamentによる後肢足底刺激を行って疼痛閾値を評価した。安楽死後μCTで大腿骨遠位および脛骨近位骨幹端において骨形態計測を、また下肢骨当該領域の後根神経節(第3から5腰髄神経根)を採取し、疼痛関連タンパクとしてcalcitonin gene-related peptide (CGRP)およびtransient receptor potential cation channel subfamily V member 1 (TRPV1)の発現を免疫組織学的に評価した。 OVX-V群はSham群(コントロール群)と比較して有意に疼痛閾値が低下し、疼痛過敏が認められたが、OVX-ALN群は疼痛閾値の低下が有意に抑制されていた。μCTによる骨形態計測では大腿骨遠位部と脛骨近位部の骨塩定量および骨形態計測はOVX-V群がSham手術群と比較して有意に骨の粗鬆化が認められ、OVX-ALN群は有意に骨の粗鬆化が抑制されていた。 後根神経節での疼痛関連タンパクの発現はCGRPおよびTRPV1共にOVX-V群はSham群と比較して有意に発現が増加し、OVX-ALN群は有意にCGRPとTRPV1の発現増加が抑制されていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順調であり、テリパラチドの疼痛抑制効果についても動物モデルを用いて検討中である。アレンドネートによる研究成果はJournal of Orthopaedic Scienceに受理された。テリパラチドの研究成果はpreliminaryではあるが、昨年のヨーロッパリウマチ学会でその成果を発表した。
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今後の研究の推進方策 |
テリパラチドの疼痛抑制効果についても同様に動物モデルを用いて検討している。疼痛抑制効果と骨形態計測および後根神経節での組織学的検討に加えて、アレンドロネート治療との比較検討を計画している。
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