1) 骨粗鬆性疼痛動物モデルの確立:von-Frey filamentによる後肢足底刺激を行った疼痛評価において両側卵巣摘出術(OVX)群がSham手術群(コントロール群)と比較して有意に疼痛閾値が増加し、疼痛過敏が認められた。安楽死後μCTを用いて骨塩定量および骨形態計測を行い評価したところ大腿骨遠位部および脛骨近位部の骨塩定量および骨形態計測ではOVX群がSham手術群と比較して有意に骨の粗鬆化が認められた。骨粗鬆症モデルにおいて疼痛評価を確立して骨粗鬆性疼痛動物モデルを確立した。 2) 骨粗鬆性疼痛動物モデルの下肢骨当該領域後根神経節での疼痛関連タンパクの検索:下肢骨当該領域である第3から5腰髄の各神経根において疼痛関連タンパクとしてCGRPおよびTRPV1の発現を免疫組織学的に検討したところSham手術群と比較してOVX群では有意に上昇していることを見出した。 3) 骨粗鬆性疼痛動物モデルを用いての薬物治療による評価・検討:OVX後にvehicleを投与するOVX-V群、ビスフォスフォネート製剤 (ALN)もしくはテリパラチド(PTH)を投与するOVX-ALN群、OVX-PTH群とSham手術後にvehicleを投与するSham群に分けた。OVX4週後に評価した。 OVX-V群はSham群と比較して有意に疼痛閾値が低下したが、OVX-ALN群およびOVX-PTH群は疼痛閾値の低下が有意に抑制されていた。骨形態計測ではOVX-V群がSham手術群と比較して有意に骨の粗鬆化が認められ、OVX-ALN群およびOVX-PTH群は有意に骨の粗鬆化が抑制されていた。疼痛関連タンパクの発現はCGRPおよびTRPV1共にOVX-V群はSham群と比較して有意に発現が増加し、OVX-ALN群およびOVX-PTH群は有意にCGRPとTRPV1の発現増加が抑制されていた。
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