3~3.5kgの日本白色家兎の膝関節内の関節液の影響を受ける大腿骨顆部関節面に径2.5mm、深さ5mmの円筒形の骨欠損を作成し、市販骨セメントまたは開発中の酸化チタン含有骨セメントを埋入し、6、12、26週で屠殺して、セメント-骨界面の状態の組織学的評価を行った。結果として、12週、26週において酸化チタン含有セメントが有意に骨との固着性に優れていることが判明した また、日本白色家兎に卵巣摘出手術と、ステロイド投与を行って、骨粗しょう症となった家兎を作成し、その大腿骨骨幹部に4箇所円筒形の骨孔を作成し、そこにあらかじめ硬化させた酸化チタン含有骨セメント、もしくは市販のPMMA骨セメントを埋入し、6,12,26週で屠殺し、組織評価、およびpush out法を用いた骨結合能の評価を行った。push out testの結果では、卵巣摘出にステロイド投与を加えた群で、6週で有意な骨密度の低下を認めたものの、12週ではSham群との有意差を認めなかった。また、卵巣摘出のみの群も含めて、いずれの群においても、市販骨セメントと比較して酸化チタン含有骨セメントの方が、骨との固着性に優れていた。これらの結果から、骨粗鬆症モデル家兎をきちんと作成できていなかった可能性がある為、骨粗鬆症の定量的評価の為に、実験に使用した日本白色家兎の骨量の定量的評価を追加実験中である。 また、ビーグル犬の人工股関節置換術を行い、酸化チタン含有骨セメントが、市販の骨セメントと比較して、臼蓋側の骨-セメント界面のaffinity indexが1,3,6,12か月での屠殺標本において高く、大腿骨側の骨結合能もいずれの期間においても高い値を示し、その優れた骨結合能を証明した結果を現在、Journal of Biomedical Materials Research (PartB)に投稿中である。
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