研究課題/領域番号 |
15K10475
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
藤田 洋史 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (20423288)
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研究分担者 |
小渕 浩嗣 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 講師 (10304297)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | グルタチオン / ゲノム編集 / ノックアウトマウス / CRISPR/Cas9 system |
研究実績の概要 |
グルタチオンに関連する破骨細胞分化促進候補分子Aを見出した。このノックアウトマウスを作製するために、CRISPR/Cas9 systemによるゲノム編集の実験系の確立を行った。CRISPR/Cas9 systemは、これまで時間やコストの面で困難であった変異マウスの作出が簡便かつ低コストで行えるため近年注目されている。Cas9 proteinとgRNAを同時に発現するPX458ベクターを用いて、培養細胞でのゲノム編集を試みた。まず、分子AのゲノムをターゲットとしたgRNAを設計し、ベクターの構築を行った。ポジティブコントロールとしてNFATc1をターゲットとして用いた。これらのベクターをマウス線維芽細胞株3T3-L1細胞に、エレクトロポレーションにてトランスフェクトし、ゲノム配列を解析した結果、分子A及びNFATc1のターゲット部位を中心とした配列に変異が認められた。次に、マウス個体でのゲノム編集を行う為、PX458を鋳型としてgRNAをin vitro transcriptionにて合成し、Cas9 proteinとともにマウスZygoteにエレクトロポレーションにてトランスフェクトを行った。偽妊娠マウスにこのZygoteを移植後、得られたEmbryoのYolk sacからゲノムを抽出し、配列を解析した結果、マウス個体でも分子A及びNFATc1で変異導入が行われたことが明らかとなった。またNFATc1変異Embryoでは既報の通り心臓の形成に異常が認められた。このように培養細胞およびマウス個体において、CRISPR/Cas9 systemによるゲノム編集の系が確立できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最も難関であったマウス個体におけるゲノム編集の実験系を確立できており、研究課題の目的を達成する為に、重要な手法の習得に成功した。現在、分子A変異マウス個体の作出を行っており、概ね順調であると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、候補分子Aの変異マウスを複数匹作出し、LPSによる骨破壊モデルへの反応を動物用CTシステムを用いて解析する。加えて、組織学的解析を行う為、CT解析済みのマウスを固定後、骨破壊部位のパラフィン切片を作成し、TRAP染色にて破骨細胞の形成を評価する。 これらの解析により、骨破壊における明らかな変化が認められた場合、骨髄マクロファージを取得し、in vitroにおける破骨細胞分化への影響を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた精製分画からの破骨細胞分化促進因子の同定よりも先に、in silicoによる解析で候補分子の選定が出来た。これにより、ゲノム編集マウス作出実験系を前倒しした為、コストが減少した。
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次年度使用額の使用計画 |
候補分子の機能解析後、今一度精製分画からの同定に立ち戻り分化の実験系を用いて解析する際に、使用する計画である。
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