研究課題
昨年度に引き続き、原発性骨粗鬆症を対象として骨吸収抑制剤であるミノドロン酸と骨形成促進剤であるテリパラチド連日製剤の骨微細構造、骨強度について検討した。ミノドロン酸では、骨梁幅や骨梁数などの微細構造パラメータと有限要素法による骨強度は改善するが、骨梁連結性を改善させることは困難であった。一方、テリパラチド連日製剤では、骨梁幅や骨梁数をさらに増加させ、ばらつきは大きいものの平均値としては連結性も改善させていた。さらに強度の増加量も大きかった。また、これらのパラメータの変化はDXAによる骨密度変化よりも大きく、日常臨床での骨密度による評価では、構造や強度の変化を過小評価している可能性が示唆された。本研究結果については、昨年度得られた結果に統計学的検討を加え、2017年9月に米国で行われた米国骨代謝学会 (ASBMR)にて報告した。次に、骨吸収抑制剤デノスマブで治療された関節リウマチ症例と、骨粗鬆症治療されていないhistorical controlを対象に、骨微細構造、骨強度の変化を解析し、デノスマブの有意な骨微細構造と骨強度の改善効果を確認した。骨代謝マーカーについては、リセドロネート国内第三相試験のサブ解析を行い、骨吸収マーカーとしてCTxとTRACP-5b、骨形成マーカーとしてP1NPの治療効果との関係を検討した。治療開始時のマーカーの値の意義、また治療開始時と治療開始後3ヶ月の値の変化が最小有意変化を超えているか否かで、治療開始後1年の骨密度変化がどのように異なるのか?、また治療開始後3ヶ月時点でのマーカーの絶対値が閉経前女性基準値内に入っているかどうかで治療開始後1年の骨密度がどのように異なるのか?、などに関して貴重な治験を得た。本研究結果については、2017年7月の日本骨代謝学会で報告した。
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