平成29年度は、非荷重やエストロゲン欠乏によって引き起こされる骨量減少がどのような機序によるものか検討するために、骨芽細胞のアポトーシス抑制により生涯にわたって高骨量を維持している骨芽細胞特異的BCLXL過剰発現マウス(2.3kb Col1a1 BCLXL tg)を用い、オスは尾部懸垂実験・メスは卵巣摘出(OVX)実験を行った。27年度で使用したtgマウスはB6C3F1系統であり骨量のばらつきが大きかったため、今回の尾部懸垂実験およびOVX実験に用いるtgマウスは日本SLC株式会社より購入したC57BL/6 N系統に10回以上戻し交配を行ったものを使用した。野生型およびtgマウスのオスは、尾部懸垂を行わない対照群と13週齢から15週齢まで2週間尾部懸垂を行う尾部懸垂群に分け、すべてのマウスについて15週齢で屠殺する3日前と10日前にカルセインを腹腔投与した。屠殺時に、血清・後肢を採取し、マイクロCT解析および骨形態計測に用いる大腿骨は70% EtOHで固定し、脛骨は4% PFAで浸漬固定後、脱灰しパラフィン包埋を行った。野生型およびtgマウスのメスは、6週齢時に腰部の背側両側の切開のみ行ったSham群と卵巣摘出を行ったOVX群に分け、11週齢まで5週間の飼育を行った。すべてのマウスについて11週齢で屠殺する2日前と7日前にカルセインを腹腔投与した。屠殺前に体重を測定し、血清・後肢を採取後、マイクロCT解析および骨形態計測に用いる大腿骨は70% EtOHで固定、脛骨は両端を切除後、骨髄をPBSで洗い流し歯間ブラシを用いRNAを抽出するための骨芽細胞分画と皮質骨分画を採取した。現在、マイクロCT解析、骨形態計測解析、血清を用いたオステオカルシンやTRAP5b等の測定を行っている。
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