研究実績の概要 |
In vitro実験系を用いて、HMGB2の脂肪分化抑制のメカニズムについて明らかにした。実験計画では、筋芽細胞株C2C12細胞を脂肪細胞に分化誘導し、様々な実験を行う計画であったが、脂肪分化の効率は意外に低く、内因性のHMGB2発現も含めて有意なデータは得られなかった。市販のヒト・マウス骨髄由来間葉系幹細胞(BMSC)を用いた実験結果も同様であったため、以降共同研究先である米国スクリプス研究所より譲与されたマウスBMSC(Taniguchi et al. J Biol Chem 2011)を用いて、in vitroの実験を行なった。一方、in vivoの実験も並行して進めており、ラット腱板断裂モデルを作成して腱板断裂部に起きる脂肪変性ならびにHMGB2、SZPの局在を組織学的に検討した。具体的には、SDラットの棘上筋と棘下筋を大結節より切離し、広範囲腱板断裂を作成、1, 2, 4, 8, 12週後に屠殺し上記蛋白の局在を組織学的に検討した。また採取した検体を用いてHMGB2、主要脂肪分化マーカーの蛋白・遺伝子発現を定量的PCR, ウェスタンブロットにて検出、先に述べたin vitroの実験との整合性について検討した。さらに、宮崎大学医の倫理委員会より承認され、本研究の同意書が得られた51例のヒト検体(術中採取された肩腱板組織)についても同様に組織学的検討を行い、HMGB2と脂肪細胞の発現パターンに関して動物モデルのそれと比較検討した。
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