研究課題/領域番号 |
15K10486
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
前田 真吾 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 特任准教授 (60353463)
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研究分担者 |
河村 一郎 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員准教授 (90535832)
小宮 節郎 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (30178371)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Atoh8 / 骨芽細胞分化 / BMP |
研究実績の概要 |
加齢と共に骨髄内の骨芽細胞/脂肪細胞の比が減少して、いわゆる脂肪髄を伴う骨粗鬆症になる事は良く知られている。骨形成蛋白(BMP)シグナルは、間葉系幹細胞(MSC)からの骨芽細胞と脂肪細胞、両者の分化を促進するが、その分化の選別を規定する機構の候補分子としてAtoh8 に着目し、1) 間葉系各種細胞のBMP 刺激によるAtoh8の発現動態プロファイル、2) 骨芽細胞・脂肪細胞分化におけるAtoh8 のgain/loss-of-function の影響、3) Atoh8 の分化選別機能における分子メカニズム、について検討を開始した。 Atoh8は前駆骨芽細胞(ST-2)、成熟骨芽細胞(MC3T3-E1)の両者において、BMP刺激によって再現よく発現誘導された。この誘導は、新生蛋白合成阻害剤シクロヘキシミドにて変化しなかったのでBMP-Smad経路の直接標的と考えられた。そこで、Smad1抗体を用いたたクロマチン免疫沈降(ChIP)実験を行ったところ、Atoh8遺伝子のプロモーターとイントロン部への結合をそれぞれ検出できた。 siRNAによるノックダウン実験を行ったところ、骨芽細胞分化は初期から亢進し、驚くべき事に骨芽細胞分化マスター転写因子Runx2の発現から上昇が観られた。 Atoh8蛋白の検出をウエスタンブロットで試みた。市販の抗体3種を試したが、いずれをもってしてもAtoh8蛋白の検出は出来なかったので、過剰発現系の構築を優先した。現時点で発現プラスミドの構築に成功し、これのトランスフェクションによるAtoh8蛋白検出を試みたが、プロテアソーム阻害剤MG132を用いるとはっきりとしたバンドを検出する事ができたので、Atoh8蛋白は分解速度、すなわちturn-overが早い事が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り、骨芽細胞系・脂肪細胞系におけるAtoh8のBMP刺激による発現誘導解析、ノックダウン実験、過剰発現系の構築、などを進行できている。
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今後の研究の推進方策 |
Atoh8のin vivoにおける発現部位、特にマウス骨格における発現を検討する。現時点で内因性Atoh8蛋白を検出できる抗体を入手できていないので免疫組織化学染色の可能性は否定的であり、mRNAでの検出をin situ hybridizationで行う。 また、in vivoにおける機能を調べる為にノックアウト(KO)マウスの解析を予定する。Atoh8 KOマウスは京都大学と東京大学との共同研究で行う。具体的には、embryo、新生仔、若年成獣、老年成獣について、骨形態計測、μCT解析を外注で行い、骨を丁寧に解析する。
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