研究課題
Atoh8 KOマウスの解析を進めた。8週齢マウス大腿骨のμCT解析にてKOマウスの骨量減少を認めていたが、椎骨(第4腰椎)の骨形態計測も行ったところ、やはり骨量の減少を認めた。骨形成と骨吸収パラメーターから、骨形成に変化はないものの、破骨細胞が増えており、骨吸収が亢進して骨量が減少したと結論された。そこで、骨芽細胞による破骨細胞分化制御と、破骨細胞自身のAtoh8による分化制御の可能性を、初代骨芽細胞ー初代骨髄細胞および初代脾臓細胞の共培養実験で検討したところ、Atoh8の破骨細胞autonomousな影響はほぼなく、骨芽細胞を介した破骨細胞分化促進が予想された。そこで、KOマウス由来骨芽細胞、およびマウスST-2骨髄間質細胞におけるAtoh8 siRNAノックダウンにおけるRanklとosteoprotegerin (Opg)の発現を定量的RT-PCRで検討すると、KO細胞でRankl/Opg ratioが増加していた。Atoh8はturnoverの早い蛋白で内在性蛋白の存在をウエスタンブロットでも免疫組織化学染色でも検出できていなかったので、in situ hybridizationによるmRNA発現の検出を進めた。胎生期および新生仔の骨ではAtoh8 mRNAは検出されなかったが、8週齢マウス脛骨では、一次海綿骨の骨芽細胞と、成長板の肥大軟骨細胞に明らかな発現を検出することができた。RanklとOpg遺伝子のプロモーター解析に着手しているが、Atoh8発現プラスミドはRanklプロモーター・レポーターの活性には影響しないが、Opgプロモーターの活性は増加させた。Atoh8はbasic helix-loop-helix(bHLH)蛋白であり、OpgプロモーターにはbHLHの結合エレメントであるE-box配列が複数同定されている。
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