研究課題/領域番号 |
15K10487
|
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
大塚 隆信 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (10185316)
|
研究分担者 |
水谷 潤 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (70326156)
鈴木 伸幸 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (50551230)
小澤 修 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90225417)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | osteoblast / heat shock protein / HSP22 |
研究実績の概要 |
我々は骨代謝制御の中心的役割を担う骨芽細胞の増殖・分化の制御機構を検討し、骨代謝調節因子の細胞内情報伝達機序の詳細を明らかとしてきた。特にheat shock protein(HSP)と称される一連のタンパク質に着目し、骨代謝におけるその役割について解析を進めてきた。HSPは近年では熱刺激のみならず様々なストレスに反応して発現され、現在ではストレスタンパク質と総称されている。HSPは変性した蛋白質の3次元的構造の乱れを復元する(refolding)分子シャペロンとしての機能を有し、生体防御機構において中心的な役割を担うタンパク質であるが、骨代謝におけるその役割の詳細は未だ明らかとされていない。 我々は既に骨芽細胞様MC3T3-E1細胞においてtumor necrosis factor-α(TNF-α)がp44/p42 mitogen-activated protein (MAP) kinaseを介してinterleukin-6(IL-6)の産生を促進すること、一方、mTORを介しp70 S6 kinaseを活性化し、IL-6の産生を抑制することを報告している。今年度は、低分子量HSP の一つであるHSP22に注目し、TNF-αによるIL-6産生におけるHSP22の役割を検討した。その結果、HSP22をノックダウンした細胞においてTNF-αによるIL-6産生は阻害されることを見出した。またHSP22をノックダウンした細胞においてTNF-αによるp70 S6 kinaseのリン酸化は増強された。一方、p44/p42 MAP kinaseのリン酸化は抑制された。さらにHSP22がmTOR及びp70 S6 kinaseと結合するかどうかについて免疫沈降法を用いて検討した結果、HSP22はp70 S6 kinaseではなくmTORと結合を示した。またHSP22をノックダウンした細胞においてmTORのリン酸化は増強された。以上のことから、骨芽細胞においてHSP22はmTORと相互作用し、TNF-αによるIL-6産生を促進的に制御していることが示唆された。
|