本研究の目的は人工肘関節置換術(TEA)に際してCT画像を用いた3 次元術前計画およびカスタムメイドカッティングガイドの作成によるコンピューター支援手術システムを確立し,その再現性の検討および臨床成績に及ぼす影響を検討することである.人工肘関節置 換術においては国内外にて3次元術前計画を施行した報告はこれまでのところなく,本研究により3次元術前計画に基づく正確な人工関節の設置が可能となることで,合併症が多いことが報告される人工肘関節であるが人工関節周囲骨折等の重大な合併症の低減に繋がり,人工肘関節置換術の発展に大きく寄与するものと考えている. 本研究ではまずは第1段階として3次元術前計画のシステム構築を行った.3次元画像解析ソフトZedView(レキシー株式会社)を使用し,ナカシマメディカル 株式会社から提供を受けた K-NOW Total elbow system の 3 次元 CAD データを取り込むことによりPC上での仮想インプラントの設置を可能とした.ここに実際の肘関節CTデータを取り込み,骨表面形状および髄腔形状に最も適したサイズ,設置 位置を計画した.平成27年度には4例,平成28年度には3例の症例を登録し,術前計画および術後の評価登録を行った.また術前計画を術中に反映するためのツールとしてカスタムメイドカッティングガイドの開発に着手し,屍体を用いてインプラントの設置を行いカッティングガイド作成の準備を進行した.カッティングガイドの完成にはいくつかの課題を有しており最終完成には至らなかったが3次元術前計画自体は完成したため,本研究の成果を国際学会にて報告し,また国内雑誌において総説として掲載することが出来た.現在英文論文を作成し投稿中である.
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